研究実績の概要 |
当該施設、3テスラMRI装置を用いて成人Autism spectrum disorder (ASD)症例及び定型発達(TD)例のMRI撮像を実施し、現在までにASD25例、正常発達例25例 のデータ取得が完了した。令和3年度マイルストーンに基づき、ASDの客観的な画像バイオマーカーとして有望な次世代拡散MRI指標を開発すべく、神経突起イメージングを用いて当該施設にて撮像したASD (N=25, 男性19名32.93±9.24歳)と年齢・性別に有意差のないTD群(N=25; 男性17名,女性8名; 34.43±9.02歳)間で神経突起イメージング指標を比較した。ASD群におけるNeurite density index (NDI)の有意な低下、及びIsotropic volume fractionの有意な増加を検出し、神経細胞密度の低下と慢性神経炎症に関連した細胞外自由水の変化を示唆する結果を示した。これらの変化はいずれも言語的・社会的コミュニケーションに関連する白質路に分布した。また、NDIはAQの構成尺度であるAQ-communication値と有意な負の相関を示し、ASDにおけるコミュニケーション障害の基盤となる神経変性を示唆する結果を示した。また、Linear discriminant analysis using leave-one-out cross-validationを用いたASD群とTD群の分類精度検証では、従来法の拡散テンソルイメージング(sensitivity, 69-81%; specificity, 72-80%)と比較して、神経突起イメージングではより高い分類精度(sensitivity, 77-81%; specificity, 84%-88%)を示し、診断バイオマーカーとしての高い有用性を示唆する結果を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該施設にて既にASD 25例、定型発達例25例の計50例のデータ取得が完了しているため(令和4年度までに、目標数40例)。また、マイルストーンに基づき、NODDIを用いた白質構造評価を行い、既に査読付き英文誌にて報告済みであるため(Andica C, Irie R, et al. Molecular autism 2021, impact factor = 7.509)。
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