研究課題/領域番号 |
21K15991
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
河本 亜美 東京医科歯科大学, 医学部附属病院光学診療部, 助教 (70849124)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ゲニステイン / イソフラボン / 潰瘍性大腸炎 / ヒト大腸上皮オルガノイド / チロシンキナーゼ |
研究成果の概要 |
本研究では患者由来のヒト腸上皮オルガノイドを用いてイソフラボン類であるゲニステインの腸上皮における機能解析を行なったところ、ゲニステインはEGF受容体とHGF受容体の両方を選択的に阻害することにより大腸上皮幹・前駆細胞の増殖機能に対し抑制的な作用を有することを示した。さらに患者由来大腸上皮オルガノイドを用いた2次元単層上皮形成による創傷治癒モデルの解析で、ゲニステインは創傷治癒反応を有意に遅延させた。これらよりゲニステインは、幹・前駆細胞機能の抑制により、腸管粘膜に負の影響を及ぼし、持続的な粘膜損傷や潰瘍性大腸炎の発症につながる可能性が示された。
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自由記述の分野 |
消化器病態学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本邦においてクローン病に対し脂質制限や栄養療法が行われているがその詳細なメカニズムは明らかでない。食餌由来因子と炎症性腸疾患の発症・進展等について特定の食餌因子が腸上皮に対する直接作用を通じて疾患発症に関与し得る機序を示した報告はない。イソフラボン類は本邦で摂取量が多い食餌因子群であり、健康維持に正の効果を有する作用が広く認知されているが、本研究により同因子群のうち、ゲニステインは腸上皮を介した生体に対する負の作用を有し得る当方独自の知見を得た。従って本研究はイソフラボン類の新たな作用機序を明らかとし、今後新たな予防・治療法等への展開に寄与し得るものと考えている。
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