本研究では、生後の肺胞成熟期に時期限局的に出現する筋線維芽細胞の動態を分子レベルで明らかにすることを目的としている。まず、組織透明化技術と免疫染色法を最適化し、複雑な構造変化を伴う肺胞成熟過程の3次元解析を行った。さらに筋線維芽細胞に関するTgマウスを導入し、RNA-seq解析や系譜追跡を行ったところ、筋線維芽細胞は肺胞形成完了後にアポトーシスを起こして組織内から除去されることがわかった。また弾性繊維形成に異常を示すKOマウスを解析したところ、筋線維芽細胞の生残期間の明らかな延長が確認された。この結果は、筋線維芽細胞の生存には肺胞組織の弾性力や機械的刺激が関与している可能性を示唆している。
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