腎臓のエネルギー代謝障害が慢性腎臓病の進展に関わることが注目されている.本研究は申請者が開発した進行性糖尿病性腎臓病(DKD)モデルマウスを用いて,DKD進展における腎エネルギー代謝障害の病態生理学的意義の解明を目的に行われた.進行性DKDマウスは,ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化(FAO)機能を反映する偶数鎖アシルカルニチンが,腎臓において幅広く減少するともに,FAO関連遺伝子が有意に変化していた.これらの変化は,ARBによりに抑制された.本研究結果は,FAO機能障害がDKD進展に関連していることを示唆しており,エネルギー代謝,特にFAOへの介入は,DKDに対する新しい治療候補となり得る.
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