リポ蛋白リパーゼ(LPL)は、血中トリグセライドから細胞内への脂肪酸輸送を促進する酵素で、脂質代謝において重要な役割を果たす酵素であり、その活性低下は高トリグリセリド血症を引き起こす。本研究では、全身または腎特異的なLPL欠損マウスを用いて、全身ならびに腎臓局所のトリグリセライド代謝異常と慢性腎臓病の関連を解析した。結果、全身的なLPL欠損は高トリグリセリド血症を引き起こすものの、腎臓の生理的作用、腎臓病には影響しなかった。さらに、腎臓特異的LPL欠損マウスも全身のLDL欠損マウス同様の結果であった。これらの結果より、LPL活性低下による脂質異常は慢性腎臓病に直接寄与しない可能性が示された。
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