研究課題
若手研究
本研究では、κオピオイド受容体の摂食調節機構を解明する一環で、κオピオイド受容体作動薬の摂食促進作用について研究した。その結果、臨床で血液透析患者や慢性肝疾患患者の掻痒症に用いられるκオピオイド受容体作動薬のナルフラフィンが側坐核のκオピオイド受容体の刺激を介して摂食促進作用を示すことや、ナルフラフィンの摂食促進作用が抗がん薬による食欲不振に対して改善傾向を認めることが明らかになった。以上より、κオピオイド受容体作動薬が食欲不振の治療に活用できる可能性が示唆された。
神経科学
加齢に伴う身体機能の低下、抗がん薬による食欲不振や進行がんに合併するがん悪液質では、いずれも体重減少や低栄養、消耗状態が認められる。これらが進行すると全身状態が悪化することから、有効な対策が求められる。本研究では、κオピオイド受容体による摂食調節機構に着目し、κオピオイド受容体作動薬が側坐核のκオピオイド受容体の刺激を介して摂食促進作用を示すことを明らかにした。高齢者やがんの罹患数は増加していることから、摂食調節機構の解明は食欲不振の予防・治療に新たな知見をもたらし、社会的意義は高いと考える。