研究課題
若手研究
癌細胞では硫黄呼吸が亢進している可能性があり、硫黄呼吸に関連する酵素(SQR・CARS2)を過剰発現させた細胞の硫黄代謝物を測定しHSS-Cysと硫化水素の動態を測定した。人体の癌細胞において、通常組織とは異なる硫黄代謝能力が、癌細胞の成長速度と関連している可能性があり、より明確な硫黄代謝物動態を把握するため、癌部と非癌部の硫黄代謝物を比較した。結果,癌組織中では正常組織と比較し硫黄呼吸関連代謝物であるシステインおよび過硫化システイン誘導体の観測レベルが上昇していたことが確認された。
大腸癌
癌組織においては通常の組織と異なる硫黄代謝能力が癌細胞の成長速度と関連している可能性が示唆された。ただし腫瘍の中心部の代謝物は正常粘膜組織と有意な差異が認められなかったなど解明しきれなかった点も多い.本研究者としては今後,腫瘍のもつ不均一性を考慮し,分裂能の高い癌細胞において更に硫黄呼吸経路を解明する必要があると判断し継続的な研究を予定している。この経路が解明されることで,成長速度のコントロールする新規薬剤開発の可能性,また発癌を早期に発見する予防学的研究に繋げられる可能性が高いと考えられる。