研究成果の概要 |
SOX2陽性扁平上皮癌の腫瘍学的・分子生物学的な特徴を明確にすることは肺扁平上皮癌の治療開発において極めて重要である. 治療抵抗性と臨床予後は, SOX2の発現と活動に密接に関連しており, そのような観点からSOX2によって影響を受け制御される分子ネットワークを明らかにすることは極めて重要で, SOX2とPI3K/AKT/mTOR経路との相互依存性が注目されている. 本研究はSOX2がPI3K/AKT/mTOR経路を介して下流のeffectorに対する作用機序を解明し, 肺扁平上皮癌に対する分子標的治療の基礎的な検討を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
癌の分子生物学的進歩により, 癌の発生や進展機構が急速に解明されつつある. とりわけ, ゲノム解析をはじめとする網羅的分子解析技術の進歩は目覚ましく, これらの機構解明に留まらず, 新しい治療標的分子の発見から癌分子標的治療薬の開発が加速している. 肺癌でも, 特に腺癌でEGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子に対する分子標的治療薬の進歩が顕著である. 一方で扁平上皮癌においては, 現在まで治療標的となるドライバー遺伝子変異は確認されておらず, 実用化された分子標的治療薬はない. 癌遺伝子の活性化を導く遺伝子増幅の標的を同定し,癌発生の分子機構の解明に寄与する.
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