本研究の目的は,人工呼吸によるARDS肺胞上皮細胞死の「制御されたネクローシス」増強から遠隔臓器障害惹起と悪循環形成までの流れを検証し,「制御されたネクローシス」の阻害剤が肺と遠隔臓器障害を抑制するかを検討することであった.高容量換気がARDS肺において低容量肺保護換気よりもネクローシスをさらに進行させ肺傷害を増強することは明らかにしたが,高容量換気が「制御されたネクローシス」を増強するかについては,実行因子が低容量保護換気との比較で有意差を認めなかったため,人工呼吸開始前の「制御されたネクローシス」を標的とした阻害剤が肺と遠隔臓器の障害を抑制するかを検討するまでに至らなかった.
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