SARS-COV2によるARDSは未だ病態が十分に明らかになっておらず、特異的な治療もない。病態を解明する上で患者の臨床情報や、サイトカインデータ、細菌叢や代謝産物といったオミクスデータを解明することは、その生体内で起きている事象を把握する上で有用な可能性がある。 我々は、事前の計画に基づき既に集積していたCOVID-19患者の血清に加えて、新たに血清や喀痰を集積している。今年度は集積したサンプルを用いて各種サイトカインを測定した。また、COVID-19患者の背景や予後データを集積した。現在、以前に集積した非COVID-19患者のデータと比較し、解析を行なっている。SARS-COV2によるARDSはサイトカインストームにより生じると考えられているが、今回の測定や検討により有用なデータが得られている。 また、重症病態では人工呼吸器管理が必要である。しかし、同調不良とその予後との関係は明らかになっていないため、システマティックレビューを行った。この研究から、同調不良は臨床的予後不良と相関があることが示唆され、今後のさらなる研究が必要であることをを報告した。 (Kyo et al. j intensive care (2021) 9:50) 出版に関しては、研究協力者と共に、重症細気管支炎におけるオミクスデータ解析やphenotyping/endotypingについて、今までの成果をまとめ、雑誌に投稿をおこなった。
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