本研究の目的は、卵巣がんに対する一細胞解析を通して、その悪性化機構を明らかにすることである。第一に卵巣成熟奇形腫の悪性転化を対象とした。卵巣成熟奇形腫の悪性転化は希少がんであり、その病態はほとんど明らかにされていない。5例の卵巣成熟奇形腫の悪性転化に対して、一細胞解析および空間的トランスクリプトーム解析を行い、がんの部分においてKLF5遺伝子の高発現を明らかにした。また、卵巣漿液性がんに対しては、4例の空間的トランスクリプトーム解析を施行しており、薬剤感受性に関わる因子を同定した。さらに、子宮平滑筋肉腫において細胞周期関連キナーゼが新規治療標的となりうることも明らかにした。
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