紫根の有効成分であるShikoninは,古来より抗炎症効果や抗菌作用を有し創傷治癒を促進すると報告され,とくに皮膚や粘膜に有効とされている。Shikoninの歯周組織に対する創傷治癒を評価するために,ヒト歯肉上皮細胞(epi4)に対する細胞増殖,細胞遊走および抗炎症作用について評価を行った。創傷治癒に重要なシグナル経路のERKのリン酸化についてもWesternBlotting法を用いて評価した。Shikoninはepi4の増殖と遊走を有意に促進し,ERKのリン酸化を確認した。IL-1βによる炎症惹起下においては抗炎症作用を認めた。ヒト歯肉上皮組織の創傷治癒に有用であると示唆される。
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