研究課題
頭頸部扁平上皮癌は、世界で第6 位の頻度で発症し、その半数近くは口腔癌で占められている。口腔癌治療の第一選択は外科療法であるが、進行例・再発例では外科療法後のリカバリー・リハビリテーションに難渋する症例が多い。このような外科療法を回避可能な新規治療薬として、PD-1 免疫チェックポイント阻害剤の臨床応用が開始され、優れた臨床効果を示している。しかしながら、その効果は一定の患者に限られており、その原因の究明とともに治療効果の向上を狙った併用薬剤の開発と治療効果予測因子の同定が期待されている。
3: やや遅れている
1.2 種類のミエロイド系細胞が癌微小環境に浸潤し全身に循環するタイムポイントを明らかにする:未発表結果ではあるが両細胞のリアルタイムPCR 結果から、SCCVII ではM-CSF 発現が高くマクロファージ系細胞に、NR-S1 ではG-CSF 発現が高く顆粒球系細胞に、それぞれの腫瘍から産生されるサイトカインが腫瘍微小環境のミエロイド前駆体細胞の成熟に関与していることを示唆するものであった。そこで、ルシフェラーゼを用いた発光イメージング技術を両細胞に応用し両マウスモデルの腫瘍の増大ならびに全身循環を観察し、全身に循環するタイムポイントにおける表現型の解析を行うことで、病期ごとの標的化治療を考察する。2. ミエロイド系細胞の成熟を制御する標的化戦略:ミエロイド系細胞の分化誘導を制御可能なM-CSF 抗体あるいはG-CSF抗体とPD-1 免疫チェックポイント阻害剤の併用投与効果を検討する。3.老齢マウスモデルでも1・2の検討を行う。4.ミエロイド系細胞依存的に変化する末梢血所見から治療効果予測因子を同定する:後方観察的にPD-1 免疫チェックポイント阻害剤を使用した担癌患者の投与前後のLMR あるいはNLR を奏功群と非奏功群で比較しPD-1 免疫チェックポイント阻害剤との関連を調査する。さらに、ヒト検体を免疫組織学的に定量解析し、末梢血所見との関連を検討する。上記1-3は蛍光イメージ可能な細胞までは作成したが、免疫原性が高くマウスでの腫瘍生着・増殖が安定しないため断念した。項目4に関しては順調に対象患者が増加しており血算データから産出可能なNLRに関する論文はすでに公表されており多施設研究論文も投稿ずみである。現在では、患者血液検体を用いてMDSCやリンパ球のサブセットを解析しPD-1 免疫チェックポイント阻害剤の治療効果との関連について検討中である。
項目4に関しては順調に対象患者が増加しており血算データから産出可能なNLRに関する論文はすでに公表されており多施設研究論文も投稿ずみである。現在では、患者血液検体を用いてMDSCやリンパ球のサブセットを解析しPD-1 免疫チェックポイント阻害剤の治療効果との関連について検討予定である。
当初の計画を全て遂行することができなかった。
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