研究課題/領域番号 |
21K17532
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
堀場 充哉 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30598793)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 脳卒中 / 経頭蓋電気刺激療法 / 脳可塑性 / 脳内ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、経頭蓋交流電流刺激(transcranial Alternating Current Stimulation : tACS)により脳内ネットワークの細胞オシレーションを最適化し、機能回復を促通させる新規リハビリテーションシステムの開発を目指すことが目的である。現在、運動、特に歩行に関与する脳部位である一次運動野と補足運動野への脳刺激に加えて、筋への電気刺激による運動誘発を組み合わせた閉回路刺激の効果について検証を進めている。 方法は、歩行練習中に運動麻痺の改善を目的とした一次運動野への経頭蓋直流電気刺激に加え、運動のプログラミングに関与する補足運動野への経頭蓋交流電気刺激を同時に行う。さらに、足首の背屈運動に作用する前脛骨筋に電気刺激を加え、脳刺激と筋肉への電気刺激をリズミカルに行う閉回路の電気刺激療法を開発、実施している。 現在、一次運動野へと補足運動野への同時刺激と筋刺激を用いた介入群が5例終了し、2例実施中である。比較対照である筋刺激のみの群(対照群)は3例終了した。 途中経過ではあるが、介入群では、閉回路刺激による介入直後には、fugel-Mayer assesmenによる運動機能の改善だけでなく、歩行速度の増加、歩幅のばらつきの減少もみられた。また、介入群と対照群との比較においては、介入群でバランス機能に改善がみられた。 症例数が不十分ではあるが、閉回路刺激は、単に運動機能の改善だけでなく、歩行速度や歩行リズム、バランスの改善が期待できる可能性がある。この方法が確立されれば、脳卒中のリハビリテーションに新たな治療戦略を加えることができると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
回復期の脳卒中患者に対して、一次運動野への経頭蓋直流刺激と補足運動野への経頭蓋交流刺激、さらに前脛骨筋への電気刺激を組み合わせた、脳刺激+末梢刺激の介入群は5例終了し、2例は実施中である。比較対照となる、前脛骨筋への電気刺激のみの群も3例で実施が終了している。予定している20例のうち、半数が終了見込みとなっている。 介入群では、介入前後でのバランス機能(Mini-BESTest)や歩行速度、また歩幅のばらつきの改善がみられている。さらに、運動機能(Fugl-Meyer Assessment)やADL(FIM)にも改善を認めている。一方、症例数が少ないものの対照群との比較においては、バランス機能の改善に差異を認めている。
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今後の研究の推進方策 |
目標症例数の20例に向けてリクルートを進めるとともに、一次運動野への経頭蓋直流刺激を実施した先行研究とも比較を行い、2箇所への脳刺激+末梢刺激を用いた閉回路刺激の効果について検討を進めたい。2024年10月にはデータ収集を終了し、解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析用のPC購入を考えていたが、既存のPCで代用ができたため支出が少なくなった。一方、脳刺激装置および操作パソコンが消耗しており購入を考えている。
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