研究課題/領域番号 |
21K17657
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
朴 寅成 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (60812302)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エネルギー代謝 / 睡眠 / オレキシン / ヒューマンカロリメータ / スボレキサント / 脂質酸化 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの睡眠時エネルギー代謝、特に酸化基質の選択にオレキシン系が関与しているのか否かを明らかにすることである。そのため、オレキシン受容体拮抗薬の投与によってエネルギー代謝の経時変化を確認しその機序を解明する。若年健常人男性14名を対象に、ヒューマンカロリメータを用いて睡眠脳波測定を同時に実施して明らかにする。研究デザインはプラセボ対照、ランダム化、二重盲検、クロスオーバー試験とする。代謝測定1週間前から生活活動記録を行うとともに、睡眠/覚醒リズムをアクチグラフにより測定する。また代謝測定日には夕方に来研し被験者の体格に合わせたエネルギー量の規定食を提供する。その後、睡眠脳波計の電極を装着してヒューマン・カロリメータに入室する。就寝10分前にオレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント20mgあるいはプラセボ)を経口投与して睡眠時エネルギー代謝測定と共に睡眠の精査を行う。被験者の睡眠時間は8時間とし習慣的な就寝/起床時間に併せて設定する。またオレキシン受容体拮抗薬試行とプラセボ試行の間に1週間のウオッシュアウト期間を設ける。 睡眠は急速眼球運動(レム)睡眠と非急速眼球運動(ノンレム)睡眠に分けられ、ノンレム睡眠は更にN1、N2、N3の3つの睡眠ステージに分けられる。スボレキサン投薬試行とプラセボ投薬試行の睡眠構築の比較では、スボレキサン投薬試行がプラセボ投薬試行と比べてN1が有意に減少し(P<0.05)、N3の増加や睡眠潜時の短縮の傾向を見せた。他の睡眠変数では顕著な差が認められなかった。スボレキサン投薬試行の睡眠時脂質酸化量はプラセボ投薬試行より有意に高かった(P<0.05)。また、タンパク質異化量においては、スボレキサン投薬試行がプラセボ投薬試行より有意に下がった(P<0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通りに睡眠に問題の無い健常な若年成人男性を研究対象者にエネルギー代謝、睡眠時の脳波及び深部体温の測定を終了し、分析を進めている。睡眠時のエネルギー代謝に関する検討においては両試行間で脂質酸化量及びタンパク質異化量に差があることが示唆される結果が得られている。 現在はデータの整理や分析し、学会発表(RACMEM2002)や活発なディスカッションにて新しい知見もしくは分析方法を得ることを進めている段階であり、当初の計画よりもやや早い進捗状況であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の研究計画に沿って進めていくことになるが、生化学的な指標についての検討を予定より幅広く実施していく(例:尿中メタボローム分析による詳細な検討を実施し、研究を遂行していく)。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:今年度は、特に実験に関しては準備段階であり、来年度における詳細な実験の分析や解析のために費用が増加することが予想される。そのため、次年度へ の繰り越しが生じた。 使用計画:主な支出は生化学分析の依頼と解析ソフトの購入が考えられる。その他、研究成果発表のため、学会参加旅費に充てられる。
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