研究課題
若手研究
本研究では,膝関節外傷に対する現行治療法の生体力学的評価を行い,現行法における課題を明らかにした.半月板損傷に対する治療では,治療後の修復部における安定性を指標に複数の手技に関して比較を行い,現行法の改善点を明確にした.また,前十字靭帯損傷に対する治療では,治療に用いる組織の力学特性に関して新たな知見を得た.これらの内容は,臨床手技を直接的かつ定量的に評価したことにより得られた知見であり,臨床手技へ直接的にフィードバックできるものである.
バイオメカニクス
関節外傷の治療では,生体組織の解剖学的な特徴を模倣する解剖学的外科治療が一般的に行われている.それらに対して本研究では,定量的なデータで治療の評価を行い,バイオメカニクス的データを基に現行治療法の課題を明らかにした.これらのデータは,現行治療法の改善に重要なデータであるだけでなく,解剖学的外科治療を生体力学的外科治療へとステップアップさせるための第一歩ともいえる.今後,この考え方が広まり,生体力学的に考案された治療法が開発され,関節外傷外科治療のレベルが一段と向上することが期待される.