研究課題/領域番号 |
21K18135
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (60255601)
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研究分担者 |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
中石 ゆうこ 県立広島大学, 公私立大学の部局等(広島キャンパス), 准教授 (20535885)
渡部 倫子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30379870)
永田 良太 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10363003)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 外国児童支援 / アセスメント開発 / 語彙運用能力 / 語彙力と学力の関係 |
研究実績の概要 |
「語彙の広さ」を測ることや「ことばの深さ」を測ることを目的として開発した言語運用能力アセスメントと、数や形の直観的理解、そして知識を組み合わせて 推論する思考力を測る推論力のアセスメントの2種類および通常の算数問題の3つについて、対照群となる日本語母語児童に対しての予備調査を行う観点から、小学生低学年(2~3年生)・高学年(4~5年生)を対象として小学校2校に協力を依頼し、調査を実施した。内訳は、A小学校(低学年151名・高学年151名)計302名、B小学校(低学年99名・高学年120名)計219名であった。その結果に基づき引き続き中学生を対象としたアセスメントの開発と、日本語を母語としない児童がより問題文を適切に理解し回答しやすいように問題文の多言語化を進める。 さらに本年度は、協力校3校において外国児童生徒に対し言語運用能力アセスメントを実施した。対象は、C中学校10名、D小学校7名、E小学校8名であった。外国児童生徒は、日本生まれであっても、日本人児童の学年での平均得点(中学生は、日本人の小学生の成績を参考にした)に比べて、得点が目立って低い場合があった。また、調査の種類に関係なく、全体的に得点が低い児童生徒と、調査の種類によって、得点にばらつきが見られる児童生徒があった。結果を詳しく見ていくと、小学校高学年あるいは中学生であっても、1週間の日数、1年の月数、1日の時間数を正しく答えられない事例が複数あった。また、「うごきのことば」においては、「する」「着る」などの汎用性の高い語を過剰一般化して使用する様子が見られた。これらの結果について、教員へのフィードバックを行い、児童の躓きに対する気づきに繋げる。こうしたことで、本アセスメントを単なるテストに終わらせず、児童への学びの助けとなるように活用してもらえるよう、さらにアセスメントを改良し反映させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はアセスメントのITC版を開発し、タブレット端末が市から配布されている中学生を対象に予備調査および本調査を実施した。この際、タブレット端末での問題の選択時間なども同時に記録し、データ化した。さらに、本調査ではアセスメントのみならず紙による数学の文章題も同時に実施し、F中学校より159名、G中学校より107名、H中学校より175名の3校から計441名分データを得ることができた。数学文章題において、一定の割合で空欄無回答があり、学習性無力感についても今後対処すべきであることが確認できた。本調査では、アセスメント内の問題と数学文章題との相関係数を計算し、どういった問題が学力と関連性が高いのか、数学文章題において無回答の生徒がアセスメントにおいてどのように回答したのかなどについて、分析を行い、分析結果を研究成果として論文にまとめ公開する準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、認知科学・学習科学の言語習得理論と学習理論に則り、アセスメントを実施するだけではなく、実施したアセスメントの結果について児童を指導する教員に対しどのように可視化し提示するか、紙を媒体として実施したテストをどう円滑に電子化していくのかについてもシステム化するよう開発を進める予定であり、「単なる各単元の学力の得点のテスト」ではなく、結果のアナライザーとしての教員のための指導指針をもたらすものを目指し、研究を進める。 さらに、外国児童を教育している現場教員の要望を取り入れより良い指導や教材へのヒントを示すことができるようなサポートに繋がるシステムの構築も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度にも、大規模な調査の実施を計画しており、その際の印刷費・配送費に充てる他、実施に際し実験者の旅費として支出する予定である。
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備考 |
ABLEは今井研究室のアウトリーチ活動の一環として、教育にイノべーションを引き起こすために、志ある人々をつなぐ国境を越えたコミュニティを継続的に運営しています。
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