研究課題/領域番号 |
21K18257
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
鳥越 俊彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20301400)
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研究分担者 |
久保 輝文 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90580019)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | T細胞抗原受容体 / HLA multimer / シングルセル解析 / 腫瘍浸潤T細胞 / メラノーマ |
研究実績の概要 |
(1)pHLA multimerライブラリ-の合成と性能評価 HLA-A*2402に結合するEBV, CMV, Neoantigen等のT細胞エピトープペプチドをモデルとして、ペプチド・HLA複合体マルチマーライブラリー(pHLA multimerライブラリ-)の合成を実施した。今回は、in vitro translation法は用いずに、Empty HLA multimerと合成ペプチドを混合する方法によってpHLA multimerライブラリーの合成を実施した。 抗原ペプチドのアミノ酸配列情報と紐付けされたbarcode DNAを結合したpHLA multimerを合成し、数種類の抗原特異的T細胞クローンを様々な比率で混合したT細胞プールと反応させた。pHLA multimerの結合したT細胞をフローサイトメーターによってSortingし、barcode DNAのシークエンス解析によってT細胞に結合したpHLA multimerの種類と結合数を定性・定量分析した。この結果、抗原特異的TCRをもつT細胞の同定と定量化に成功した。 (2)ヒト腫瘍浸潤T細胞を用いたTCR解析 ヒトメラノーマ組織から腫瘍浸潤T細胞を分離し、これら腫瘍浸潤T細胞を対象に、メラノーマ抗原pHLA multimerライブラリー(蛍光標識)と反応させ、pHLA multimerの結合したT細胞をフローサイトメーターによってSortingした。メラノーマ抗原MART-1に特異的なTCRをもつT細胞の検出と定量化に成功した。さらに、これら抗原特異的T細胞のシングルセルTCR遺伝子解析を実施した。腫瘍浸潤T細胞のシングルセルTCR遺伝子解析によって、TCRa鎖、b鎖のレパートワーを詳細に分析することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vitro translation法によって得られるペプチドの収量が予想外に少なく、pHLA multimerの合成に至らなかったため、今回は合成ペプチドを用いてpHLA multimerライブラリーを合成した。また、pHLA multimer結合性の予備実験として、今回はフローサイトメータを用いたT細胞sortingを実施し、pHLA multimer結合T細胞のTCR遺伝子解析を実施した。 ヒトメラノーマ浸潤T細胞を対象としたシングルセルTCR遺伝子解析に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセル解析によってpHLA multimer結合T細胞を分析するためには、10倍以上の感度増強が必要であると思われた。したがって次年度は、pHLA multimerよりも感度を向上させたpHLA Dimer Technologyを用いてpHLAライブラリーを合成し、シングルセルTCR遺伝子解析を実施する計画である。 ヒトメラノーマだけでなく、大腸がんや肉腫にも拡大して、腫瘍浸潤T細胞のシングルセルTCR遺伝子解析とpHLA multimer解析を実施する計画である。 Q-dot pHLA multimer法の特許出願に向けて、基礎的データを蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延防止対策のため、リモートワークが増加し、実験の規模と頻度が減少したため、必要消耗品の購入を次年度に延期した。また、研究発表と情報交換のために参加する予定の国際会議が次年度に延期された。 繰越金は、次年度の消耗品購入と国際会議出席旅費として使用する計画である。
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