研究課題
(1)Q-dot pHLA multimerの合成と性能評価本年度は、Q-dot標識pHLA multimerの合成を実施し、性能評価を行った。ペプチド・HLA複合体のアセンブリには合成ペプチドチトとEmpty HLA multimerを混合する方法によって実施した。Q-dot標識pHLA multimerが、蛍光標識pHLA multimerを上回る感度を持つことを確認した。本技術については特許出願を準備中。barcode DNAを結合したpHLA multimerライブラリーを合成し、末梢血T細胞プールと反応させた。pHLA multimer陽性T細胞をソーティングし、barcode DNAのシークエンス解析によってT細胞に結合したpHLA multimerの種類と結合数を分析した。(2)ヒト腫瘍浸潤T細胞を用いたTCR解析昨年度に引き続き、今年度はヒト大腸がん組織の腫瘍浸潤T細胞を対象に、pHLA multimerライブラリー(蛍光標識)と反応させ、 pHLA multimerの結合したT細胞をフローサイトメーターによってソーティングした。がん精巣抗原に特異的なTCRをもつT細胞の検出を確認した。さらに、抗原特異的T細胞のシングルセルTCR遺伝子解析を実施し、TCRa鎖、b鎖のレパトワー分析を実施した。(3)ヒト末梢血T細胞のTCRレパトワー解析とpHLA multimer解析非小細胞肺がん患者の末梢血T細胞を分離し、TCR遺伝子解析によるレパトワー解析を実施した。化学放射線療法の前後でTCRレパトワーが変化した患者群では、その後に行われた抗PD-L1抗体治療の効果が高いことを見出した。新型コロナウイルス抗原pHLA multimerを作成し、健常人末梢血T細胞からウイルス特異的T細胞の検出に成功した。特許出願を実施。
2: おおむね順調に進展している
Q-dot pHLA multimerの合成と性能評価に成功し、特許出願に着手した。pHLA multimerの評価試験として、フローサイトメータを用いたヒト腫瘍浸潤T細胞のTCRレパトワー解析を実施し、pHLA multimer陽性T細胞のシングルセルTCR遺伝子解析に成功した。一方で、In vitro translation法によって得られるペプチドの収量が少なく、pHLA multimerの合成に至らなかったため、本年度も合成ペプチドを用いてpHLA multimerライブラリーを合成した。
pHLA multimer結合T細胞をシングルセル解析によって分析するためには感度増強が必要である。本年度は、Q-dot pHLA multimerによる感度向上を試みたが、さらなる感度の向上が必要であり、multimerあたりのQ-dot結合数を高めることによって、解決できると考えられた。また次年度は、pHLA Dimer Technologyを用いてpHLAライブラリーを合成し、シングルセルTCR遺伝子解析を実施する計画である。 サンプルをヒト肉腫にも拡大して、腫瘍浸潤T細胞のシングルセルTCR遺伝子解析とpHLA multimer解析を実施する計画である。Q-dot pHLA multimer法に関しては特許出願を準備中である。
コロナ禍の影響で研究の進捗に遅れが生じたため。次年度に請求した助成金と合わせて、消耗品(研究試薬)の購入に充てる計画である。
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すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 1件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 図書 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)
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