急性疾患は身体が必要とするエネルギーが十分に満たされないことが原因であり、近代の医療は損なわれたエネルギー供給を回復させる治療を行う。自然界では食料が不足しエネルギー供給が損なわれた際に、自らのエネルギー需要を低下させ省エネ状態になることで生存をはかる動物が存在する。そのような状態を冬眠とよぶ。冬眠を人間に応用できれば、現在の医療とは異なるアプローチで急性疾患の救命率を挙げられると考えた。本研究ではマウスの冬眠様状態が複数の全く異なる急性疾患へ対して抑制的・保護的に機能することを明らかにした。本研究によって人間の人工冬眠技術を開発することの大きな意義を見出したと言える。
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