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2023 年度 実施状況報告書

数値代数解析学の開拓 ー量子系偏微分方程式の数値解法の新展開ー

研究課題

研究課題/領域番号 21K18301
研究機関大阪大学

研究代表者

宮武 勇登  大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (60757384)

研究分担者 曽我部 知広  名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30420368)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2026-03-31
キーワード数値解析 / 数値線形代数 / 偏微分方程式 / 微分方程式 / 二次計画問題 / 定常反復法
研究実績の概要

偏微分方程式の数値計算は,離散化を担う数値解析学と,行列方程式に帰着された後の数値線形代数学によって支えられてきた.両者はそれぞれが一つの学問領域として成熟し,多くの優れた解法が生成されてきたが,一方で,両領域間の交流は希薄になってきており,偏微分方程式の数値解法の発展の足かせになりはじめている.本研究は,一度は細分化した数値解析学と数値線形代数学を独自の視座で再融合し,特に代数学的精神で解析学を数値的に研究する新しい学理「数値代数解析学」を開拓することを目指すものである.

3年度目は,これまで開発してきた適応型射影SOR法について,新しい収束判定などの研究を行った.これまでの判定基準ではかなりゆるい必要条件しか確認していなかったところ,確認の容易な新しい判定基準を導入した.また,当初想定していなかった展開ではあるが,画像復元の文脈で新しいアルゴリズムの雛形と呼べるものを提案した.画像復元では,1990年代には,偏微分方程式モデルをたて,数値計算する方法が開発されたが,2000年代後半以降,偏微分方程式を介さないADMMの代表されるアルゴリズムの研究が主流となっている.このような中,本研究課題の中核をなすSOR法の考え方を偏微分方程式モデルにも応用する道筋を見出した.現状としては,プロトタイプレベルのアルゴリズムではあるが,ADMMが苦手とする問題設定においても良好な振る舞いを見せることを数値的に確認できた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題の中心的な課題の一つである,CG法と常微分方程式の数値解法の非自明な関係性については,依然として発見できていない.
一方で,連立一次方程式の解法の解法を偏微分方程式の離散化に活用する新しい例を見つけることができた.対象は量子系の偏微分方程式ではなく,画像処理の文脈の方程式ではあるが,勾配の視点などで共通の構造もあり,量子系偏微分方程式を考えるための準備としては大きな進展であるといえる.

今後の研究の推進方策

CG法については引き続き検討を進めていく.また,画像処理アルゴリズムについては,様々な設定での数値実験と収束などに関する数学解析(やそれらに基づくアルゴリズムの改良)を進めていき,量子系偏微分方程式へ発展的に展開する地盤を固めていく.

次年度使用額が生じた理由

Covidの直接的な影響は無くなっているものの,直接参加を取りやめ,オンライン参加に切り替えた国内外の学会や研究集会がいくつかあり,繰り越しが発生した.今後は,計算機や,共同研究や成果発表のための(招へいも含む)旅費などに有効に活用していきたい.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Modelling the discretization error of initial value problems using the Wishart distribution2024

    • 著者名/発表者名
      Marumo Naoki、Matsuda Takeru、Miyatake Yuto
    • 雑誌名

      Applied Mathematics Letters

      巻: 147 ページ: 108833~108833

    • DOI

      10.1016/j.aml.2023.108833

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Lyapunov-stable deep equilibrium models2024

    • 著者名/発表者名
      H. Chu, S. Wei, T. Liu, Y. Zhao, Y. Miyatake
    • 雑誌名

      The 38th Annual AAAI Conference on Artificial Intelligence

      巻: 38 ページ: 11615~11623

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A modified model for topic detection from a corpus and a new metric evaluating the understandability of topics2023

    • 著者名/発表者名
      Kitano Tomoya、Miyatake Yuto、Furihata Daisuke
    • 雑誌名

      JSIAM Letters

      巻: 15 ページ: 121~124

    • DOI

      10.14495/jsiaml.15.121

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Tensor product-type methods for solving Sylvester tensor equations2023

    • 著者名/発表者名
      Niu Jing、Sogabe Tomohiro、Du Lei、Kemmochi Tomoya、Zhang Shao-Liang
    • 雑誌名

      Applied Mathematics and Computation

      巻: 457 ページ: 128155

    • DOI

      10.1016/j.amc.2023.128155

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Shifted LOPBiCG: A locally orthogonal product‐type method for solving nonsymmetric shifted linear systems based on Bi‐CGSTAB2023

    • 著者名/発表者名
      Zhao Ren‐Jie、Sogabe Tomohiro、Kemmochi Tomoya、Zhang Shao‐Liang
    • 雑誌名

      Numerical Linear Algebra with Applications

      巻: 31 ページ: e2538

    • DOI

      10.1002/nla.2538

    • 査読あり
  • [学会発表] A shifted LOPBiCG method for solving nonsymmetric shifted linear systems2023

    • 著者名/発表者名
      R. Zhao, T. Sogabe, T. Kemmochi, S.-L. Zhang
    • 学会等名
      ICIAM2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Tensor product-type methods for solving Sylvester tensor equations2023

    • 著者名/発表者名
      J. Niu, T. Sogabe, T. Kemmochi, S.-L. Zhang
    • 学会等名
      ICIAM2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Numerical algorithms for computing singular values of a generalized tensor sum2023

    • 著者名/発表者名
      T. Sogabe, A. Ohashi
    • 学会等名
      The 14th International Conference on Numerical Optimization and Numerical Linear Algebra
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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