研究課題/領域番号 |
21K18343
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | アフリカ哲学 / 人種差別 / 反植民地主義 / エスノフィロソフィー / 反アフリカ主義 / ウブントゥ / アフリカ現象学 |
研究実績の概要 |
本研究は、アフリカの現代哲学を日本に導入し、来たるべき世界哲学の発展のための礎石のひとつとすることを目的として、以下の三つの分野の研究を行う。(1)アフリカの現代哲学史: アフリカ哲学導入のために思想史的な研究を行う。(2)アフリカ的現象学的解釈学の可能性: アフリカの伝統的な宗教・世界観・人間観についての文化人類学的資料をもとにして、現象学的解釈学の立場からアフリカの生活世界を再構築する研究を紹介する。(3)概念比較による言語哲学の再構築: アフリカ諸言語や伝統思想に見られる独特の存在論、認識論、時間概念、道徳諸概念を西洋哲学のそれらと比較し、西洋哲学を相対化すると同時に新しい思考法を開拓している哲学に注目する。2021年度は、以下のような4つの学会発表を行った。 2021年度日本哲学会大会(岡山大学、5月)でのシンポジウムでは、オーガナイザーを務めながら、『人種差別とアフリカの反差別の哲学』というテーマのもとで、「反植民地運動と汎アフリカ主義」という提題を行った。これは上記(1)のテーマに相当する。 2021年日本アフリカ学会学術大会(5月)では「エスノフィロソフィーをめぐる哲学的論争」という個人発表を行なった。これも(1)のテーマになる。日本哲学会第1回秋季大会(9月)では「南アフリカにおける和解と、ウブントゥの概念:黒人意識運動からマンデラへ」という個人発表を行なった。これはテーマ的には(1)と(3)を兼ねている。日本現象学会第43回大会公募シンポジウム「人種差別の現象学」(11月)では、「ポーリン・ホントゥンジのエスノフィロソフィー批判の妥当性」という提題を行なった。これはテーマ的には(2)と(3)を兼ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究と学会発表による研究発表は4回できたので、十二分であるが、コロナ禍のために海外調査、海外での学会発表、海外からの研究者招聘ができなかった。コロナでの移動制限が緩和されたらこれらの国際活動を実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
研究方法としては、文献研究、国内外研究機関での情報収集、海外研究者招聘による学術交流といった哲学思想系の研究方法を基本とするので、2021年度と同様の活動をしていくが、22年度後半には、コロナ禍での移動規制が緩和されたならば、海外での調査(文化人類学者、心理学者との共同作業)、海外の学会出席、研究者招聘と訪問を実施して、最終的に著作に結実させて行きたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって、発表した学会が全てオンラインとなり旅費の使用が減ったことと、海外に調査に行く予定がキャンセルになったため。2022年はこの事情が緩和されることが期待され、後半(9月以降)に海外からの研究者招聘と海外での調査を予定している。
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