研究課題/領域番号 |
21K18356
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田村 容子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (10434359)
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研究分担者 |
越野 剛 慶應義塾大学, 文学部(日吉), 准教授 (90513242)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 中国文学 / ロシア文学 / 表象 / バレエ / 社会主義文化 |
研究実績の概要 |
中国において文化大革命(1966-76年)時期に作られた革命現代バレエは、中国共産党による革命の物語を、民族様式を取り入れたバレエで表現する舞台芸術である。本研究では、この革命現代バレエを中心に、ソ連と中国の社会主義をテーマとした舞台芸術・映像・文学に見られる身体表象を分析する。分析にあたっては、日本語・英語・中国語・ロシア語の資料を参照し、多角的な視点から社会主義文化の伝播と交渉の様相を考察する。 令和3(2021)年度、研究代表者は、中華人民共和国における舞踊史を再検討した。とくに、近代的舞踊劇の創作、ソ連の専門家によるバレエの伝播といった事例から、ソ連の社会主義芸術の影響を読み解いた。研究成果としては、個人の収蔵による1950年代から80年代にかけての中国のバレエ、舞踊劇のパンフレットを整理し、ソ連の芸術団体の中国公演、ソ連の専門家によって指導された中国バレエの国内公演に関する論考を発表した。 研究分担者は、ロシア・ソ連の視覚芸術における乳房イメージの受容分析をおこない、日本および中国など東アジアの事例と比較検討した。この研究成果は、口頭報告を経て、論考として発表した。 また、研究代表者が編集・執筆、分担者が執筆に携わった書籍『中国文学をつまみ食い 『詩経』から『三体』まで』において、代表者は中華人民共和国建国後の文芸政策に関する項目、および革命現代バレエに関する項目を執筆した。分担者は、ロシアにおける中国文学の伝播と影響についての項目を執筆した。これらの研究活動の過程で、代表者と分担者は、オンラインによる意見交換をおこない、研究の進捗状況報告、今後の研究計画の打ち合わせなどについて話し合った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3(2021)年度の目標であった中国舞踊史の再検討は、中華人民共和国建国後のバレエ・舞踊劇のパンフレット調査によって、ソ連の専門家によるバレエの伝播に関する論考を発表し、進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4(2022)年度は、国内における研究打ち合わせおよび前年度の成果共有のための研究会開催をおこなう。その上で、中国とロシア・ソ連の文化比較の可能な事例を選定し、分析に着手する。 研究打ち合わせおよび研究会は対面での開催をめざすが、新型コロナウイルスの感染状況によっては、オンライン会議システムも導入する。 中国における海外調査も予定しているが、感染状況によって実施が困難な場合、研究計画の延長、渡航先の変更あるいは国内調査への切り替えも視野に入れて、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染状況をふまえ、国内研究打ち合わせおよび研究会の開催を次年度におこなうために、旅費を使用しなかった。 次年度は、上記の開催および中国における海外調査をおこなう予定である。
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