研究課題/領域番号 |
21K18391
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 幸治 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 教授 (10451395)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | アイヌ / 観光 / ツーリストアート / 物質文化 |
研究実績の概要 |
今年度は、「アイヌ」という主題を巡って多様なアクターが交錯するモノづくりについて、下記の研究を実施した。(1)昭和期の北海道観光ブーム時に作られた「アイヌ」に関連するお土産品に関するデータの収集・整理を継続。なかでも国内外の博覧会や物産展への「アイヌ」に関わる出品物に着目した文献・資料調査を実施した。(2)近年開発された「アイヌ」に関連する商品(土産品)に関わる情報も継続して収集した。本州の百貨店における「北海道」や「伝統工芸」に関わる催事、伝統工芸等の従事者を対象とする市場開拓やコラボレーション促進を目的としたイベントに参加し、そこでの「アイヌ」等の表象のあり方について検討した。(3)北海道観光ブームに関する聞き取り調査については、当時、工芸品の製作販売を専業としていなかった人々にもインタビューをさせていただいた。そこでは、昭和30年代、40年代をピークとする昭和期の北海道観光ブームにおいて、観光に従事する人々が道内外の複数の場所を移動することは珍しくなかったことが確認された。(4)現在の状況については、平取町でアイヌ工芸のブランディングに関わっている人々へインタビューをおこなった。また、民族共生象徴空間(白老町)において開催された、道内各地からアイヌ工芸関係者が集い来場者とのコミュニケーションを通じてアイヌ工芸への認知向上を図るアイヌ・アートショーや、一宮市三岸節子記念美術館・北海道立近代美術館で開催されたアイヌ・アートに関する展覧会「AINU ART―モレウのうた」にも協力・参画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響は大幅に解消されたが、今年度前半においてはコロナ禍以前の状況とはいえず、文献調査などが中心となり計画どおりには実施できなかった。年度後半は、段階的にインタビュー調査や現地調査を実施することができたが、昨年度までの新型コロナウイルス感染症の影響を挽回することは困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、これまでに収集した事例をもとに「アイヌ」という主題を巡って多様なアクターが交錯するモノづくりについて総合的に検討をおこなう。そこでは、アイヌ工芸と異分野とのコラボレーションについて、文化の当事者ではない他者が、どのように関わってきたのかという点に着目する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延の影響は弱まってきたものの、その影響は残っており、予定していた北海道内および北海道外における現地調査およびインタビュー調査等の遅れを挽回することができなかった。来年度は、見送った現地調査、対面でのインタビュー、資料収集を積極的におこない適切な予算執行をおこなう予定である。
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備考 |
山崎幸治「読書ナビほっかいどう『ウアイヌコロ コタン アカラ ウポポイのことばと歴史』国立アイヌ民族博物館編」『北海道新聞(朝刊全道)』9面。2023年9月10日。(書評) 山崎幸治「アイヌ民族の造形について」『特別展・アイヌ工芸品展「AINU ART-モレウのうた」関連講演会』主催:一宮市三岸節子記念美術館・アイヌ民族文化財団。於:一宮市三岸節子記念美術館。2023年11月12日。(招待講演)
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