研究課題/領域番号 |
21K18448
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉倫 京都先端科学大学, 人文学部, 教授 (90196288)
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研究分担者 |
瀧川 裕貴 東北大学, 文学研究科, 准教授 (60456340)
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 計算社会科学 / 社会学 / 社会理論 |
研究実績の概要 |
本年度はプロジェクト初年度であり、本プロジェクトを貫く理論的枠組の構築に主に注力した。 プロジェクトメンバーによって得られた主な知見は次のようになる。 ・計算社会科学が文化社会学的な問題の解明に有効であることが明らかになった。・従来の社会学的方法と機械学習を用いた方法の共通点や相違点を明らかにするとともに、社会学における機械学習の適用可能性について検討した。社会調査に基づく社会学的研究に対しても機械学習の方法が広く適用可能であることが明らかになった。・機械学習と因果推論の関連について、特に疫学研究の方法について検討し、社会学的研究への応用可能性を明らかになった。・Twitterにおける右派コミュニティのツイートの拡散を促す要因について、Twitterデータを用いて分析した。その結果、右派コミュニティからのツイートを含め、ツイートは基本的には政治的イデオロギーによって分かれるコミュニティの内部で拡散する傾向にあることが示された。マスメディアの情報と結びつけることは、必ずしもコミュニティ外部へのツイートの拡散を促さないが、イデオロギー距離の遠いマスメディアの情報を引用した場合には、コミュニティ外部までツイートが拡散することが示された。これらの結果は、Twitter上でのエコーチェンバーが生じている可能性を示すとともに、その影響力が過大に評価されている可能性を示唆するものである。・ビッグデータ解析とAI研究は社会科学の視野を広げたが、社会科学理論の基盤に基づいて結果が解釈されなければならない。 これらの知見をまとめたSociological Foundations of Computational Social Scienceという書籍を現在編集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため海外研究協力者とはメールによる情報交換をしたが、国内研究者同士はオンライン会議によって研究会を行った。オンラインという制約はあるが、初年度予定していたことはほぼ実行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍のため海外研究者と対面で研究会を持つことができるかどうかは予測できないが、オンライン研究会などで研究を進める予定である。初年度はほぼ予定通りにプロジェクトが進展したので、次年度も予定通りに研究活動を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
元々の本年度の研究計画では海外研究協力者を日本に招へいして集中的に研究会を行う予定だった。しかしコロナ禍のため招へいが不可能になったため、次年度に予算を回して対面による研究会のために費やす予定である。
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