沖縄県宮古島出身の金井喜久子(1906─1986)は、女性作曲家として日本で初めて本格的な交響曲を作曲した人物である。1930年代から1980年代までの約50年間、沖縄音楽をモティーフとして、西洋音楽の手法により多くのジャンルの作品を作曲したほか、琉球諸島の民謡やわらべ歌の研究など、幅広く活動した。しかし、喜久子についての先行研究は限定的で、正当に評価されていないという課題がある。本研究により、喜久子の遺族が保管・管理している未整理の楽譜、写真、音楽会のチラシやプログラムなどを目録化・データ化することを通して、喜久子の活動を総合的に再評価するための基盤を構築した。
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