研究課題/領域番号 |
21K18481
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福井 和広 筑波大学, システム情報系, 教授 (40375423)
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研究分担者 |
井野 秀一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70250511)
加藤 伸子 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (90279555)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 手話 / 動画像認識 / 判読性 / 伝達性 |
研究実績の概要 |
本年度は次年度以降において基盤となる技術開発について以下の研究実績を得た. 1) 相互部分空間法に基づく手話形状・動き類似度の算出アルゴリズムの実装を行った.本アルゴリズムは以下の手順で類似度を算出した.まず比較する2つの手話動画像列のそれぞれから手話情報を表す上半身領域画像を抽出する.抽出された画像セットに主成分分析を適用して,低次元の部分空間を求める.次ぎに生成した2つの部分空間の成す複数の正準角を,相互部分空間法のフレームワークに基づいて測る.こうして得られた正準角の余弦の平均値を手話形状・動きの類似度とした. 2) 工学院大学が提供する多用途型日本手話言語データベース(KoSign)を用いて,上記の形状・動き類似度の算出アルゴリズムの基本動作を検証し,形状・動きを反映した類似度が適切に求まることを確認した.今後の研究では,この類似度の算出が3次元手話形状マップ構成のための基盤技術となり,対象とする複数の手話クラスのセット内のペアの類似度を総当たりで求めることになる. 3) 上記の多用途型日本手話言語データベース(KoSign)のデータ構成に基づいて,調査対象とする手話クラスの選定を検討した.また如何に3次元手話形状マップと3次元手話意味マップを連動させて両者を構築するかについて検討した. 4)工学院データベースの被験者は2名のみであり,データの個人依存性が無視できないと考えられる.このデータベースを補完するために,被験者を増やした独自データ構築について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
工学院大学が提供する多用途型日本手話言語データベースに含まれる手話は,3,701単語と十分なクラス数で構成されるが,被験者は男女1名づつの合計2名と限定されている.当初,このようなデータ構成でも研究遂行に問題無いと考えていた.しかしながら,算出された類似度において個人依存性が無視できないことが判明した.そこで使用するデータセットについて再検討を行う必要が出てきた.
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今後の研究の推進方策 |
2つの方策を考えている.工学院大学の多用途型日本手話言語データベースを継続して使用する場合には,個人依存性を抑制する特徴抽出のメカニズムを新たに追加する.手話クラス数はある程度限定しつつ,被験者数は増やした独自データベースの構築を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
評価に使用するデータベース選定・整備に遅れが生じた.次年度,被験者数を増やした独自データベース構築のために使用する.
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