研究課題/領域番号 |
21K18496
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
江木 啓訓 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (30422504)
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研究分担者 |
尾澤 重知 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (50386661)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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キーワード | 教育学習支援システム / 脚部動作計測 / HyFlex型授業 / 学習者センシング / 疲労 / マルチモーダルラーニングアナリティクス |
研究実績の概要 |
本研究は,学習者の脚部動作を計測するデバイスを作製し,HyFlex型授業において集約したデータから学習状況を推定する手法の開発と実践を行う.これにより,学習者の内容理解や興味・関心,疲労といった内面的な状況を明らかにし,状況に応じた学習支援を実現することを目的とする.開発したデバイスは焦電センサを用いて脚部の動作を計測するため,非装着かつ映像の取得なしに内面的な状況の推定が可能である.HyFlex型授業において学習者全体の状況を可視化し,計測精度および有用性の評価に取り組んでいる. これまでに,脚部の動作を計測するデバイスを教室の複数の座席に設置して,同時に学習者の状態の推定を行ってきた.また,学習者ごとの個人差が大きいことと,学習者の性格特性などの調査結果をふまえることの必要性が明らかになった.このため,学習者の個人差を明らかにするために,パーソナリティテストを実施した上でタスクに取り組む実験を実施した.60名の大学生・大学院生を対象として,内面的な状態に関する主観評価アンケートの結果を同時に収集し,脚部の動作との関係性について分析を行った. この結果について,タスクに取り組む前半と後半の脚部動作量を比較したところ,多くの学生が後半に増加していること,前半と後半の脚部動作に強い相関がある(r = 0.89)ことが明らかになった.学習序盤の疲労していない状態の脚部動作を測定することで,学習後半の疲労状態の脚部動作を予め推定できることが示唆された. その他に,脚部動作計測に基づく学習支援手法の検討と,安静休息と軽度運動による休息が脚部動作計測に及ぼす影響の違いの検討をそれぞれ実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに,半導体不足および国際情勢の不安定化により,ワンボードコンピュータおよび焦電センサが継続的に供給されておらず,脚部動作デバイスを必要な量作成することに時間を要した.また,研究代表者が統括する授業は,COVID-19感染拡大の沈静化に伴う所属機関の方針により,対面授業とオンライン授業を自由に選択させるHyFlex型による実施が困難になった.このため,研究分担者の授業での実施のために調整を要した. これまでに一定のデータを継続して取得しており,研究の根幹的な部分への支障はないが,HyFlex型授業において学習者全体の状況を可視化した結果の分析と考察,および学会発表の時期を繰り下げる必要が生じた.
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今後の研究の推進方策 |
HyFlex型授業におけるデータの収集に関しては,研究分担者の担当する授業での実践の体制を整えている.残りの期間において,学習者全体の状況を可視化した結果の分析と考察,および国内外での学会発表を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに,半導体不足および国際情勢の不安定化により,脚部動作デバイスを必要な量作成することに時間を要した.また,研究代表者が統括する授業は,COVID-19感染拡大の沈静化に伴う所属機関の方針から実施が困難になり,研究分担者のHyFlex型での実施のために調整を要した.学習者全体の状況を可視化した結果の分析と考察について,国内外での学会発表および論文誌掲載のために使用する.
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