• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

公営塾の全国調査にもとづく効果と課題の分析

研究課題

研究課題/領域番号 21K18501
研究機関信州大学

研究代表者

林 寛平  信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10726376)

研究分担者 中田 麗子  信州大学, 教育学部, 研究員 (40532073)
本所 恵  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80632835)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワード公営塾 / 社会問題の教育化
研究実績の概要

本研究は公営塾の全国的な実態を調査し、効果と課題を明らかにすることを目的とする。公営塾は新しい現象で、公と私の関係性を問い直す重要な研究対象である。本研究は、急増する公営塾の全国的な実態を初めて明らかにする研究だが、それを越えた3つの意義と可能性がある。ひとつは、公教育の問い直しという点である。日本では、どこに住んでいても標準化された教育が受けられるという、高度な公教育制度を作り上げてきた。しかし、労働市場のグローバル化が進み、ローカルな課題が多様化する中で、公教育の役割が変化している。地域課題を背負う公教育の分析を通して、公教育の目的・カリキュラム・制度を問い直す視座が提供できる。また、公私境界の揺らぎは世界的な潮流で、新型コロナウイルス感染拡大の影響で加速することが予測される。本研究は、学術の趨勢に見ても課題先進的であることから、国際的な議論に貢献できる。さらに、「社会問題の教育化」という視点から分析することで、現代社会で教育が担う期待を浮き彫りにできる。「教育化」は自律や解放よりも、依存や幼児化を生み出すと指摘されるが、公営塾を通じて、教育化される社会の帰結を批判的に分析する。
3年計画の2年度である2022年度は、昨年度に回収したアンケート調査の結果の整理と分析を進めた。これは、全国の市町村及び特別区(計1773自治体)にウェブアンケートフォームを用いて公営塾の有無を尋ねたものである。分析を進める中で、公営塾の定義に揺らぎがあることから、データクリーニングの必要性が明らかになり、慎重に作業を進めた。この結果、全国の公営塾の設置数の全体像が把握できるようになり、第2回調査に向けた課題と対策を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で現地調査やインタビューができず、社会情勢の混乱を受けてインターネットを用いた自治体調査の開始が遅れていた。この影響が残り、今年度も当初の計画からやや遅れている状況にある。現在は第1回調査のデータクリーニングが終わり、調査結果の公表ができる段階にある。

今後の研究の推進方策

当初3年で計画していたが、新型コロナウイルス感染症拡大によるやむを得ない理由により、やや遅れている。今後、繰越申請によって4年計画に変更するよう計画を見直す。社会情勢に応じて計画を修正することで、当初の目的を十分に果たせるようにする。4年計画に変更した後の3年目にあたる2023年度は、第2回調査を実施する。これは、公営塾を設置する自治体の担当者、塾のスタッフ、当該地域の公立学校の教師等に対するより詳細な内容を問うもので、最終年度(4年計画の4年目)の分析に必要なデータを収集する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で調査ができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度以降に計画を実施することにより、全額を使用する見込み。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] ウプサラ大学(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      ウプサラ大学
  • [国際共同研究] オスロメトロポリタン大学(ノルウェー)

    • 国名
      ノルウェー
    • 外国機関名
      オスロメトロポリタン大学
  • [雑誌論文] Commentaries on IDC Theory in practice - Synchronising international reforms in schools: a comparative perspective2023

    • 著者名/発表者名
      Wenli, Chen., Kampei, Hayashi., Mas, Nida, Md. Khambari., Kinshuk., Jon, Mason., Lung-Hsiang, Wong. and Kui, Xie.
    • 雑誌名

      Research and Practice in Technology Enhanced Learning (RPTEL)

      巻: 18(24):1 ページ: n/a

    • DOI

      10.58459/rptel.2023.18024

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] What Japan Learnt from Swedish Education: From Thunberg to Thunberg2022

    • 著者名/発表者名
      Kampei HAYASHI
    • 雑誌名

      Vagval i Skolans Historia

      巻: 1 ページ: n/a

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] <書評>広瀬裕子(編)『カリキュラム・学校・統治の理論:ポストグローバル化時代の教育の枠組み』2022

    • 著者名/発表者名
      林 寛平
    • 雑誌名

      教育社会学研究

      巻: 111 ページ: 120

  • [図書] 日本の教師のウェルビーイングと制度的保障2023

    • 著者名/発表者名
      独立行政法人教職員支援機構 (監修), 本図愛実 (編集), 百合田真樹人(著), 吉田美穂(著), 齋藤亘弘(著), 林寛平(著), 柴田聡史(著)
    • 総ページ数
      182
    • 出版者
      ジダイ社
    • ISBN
      978-4909124579
  • [図書] 世界の学校-グローバル化する教育と学校生活のリアル2023

    • 著者名/発表者名
      二宮皓(編著), 林寛平他(著)
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      学事出版
    • ISBN
      978-4761929077
  • [備考] 公営塾研究プロジェクト

    • URL

      https://publicjuku.com/

  • [備考] 信州大学 比較教育学研究室

    • URL

      https://shinshuedu.blogspot.com/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi