研究課題
5G、次世代5G通信システムの進展に伴って、通信規格の高周波化が進展している。高周波化すると指向性が強くなるため基地局の数を増やさなければならない。例えば5Gでは4Gに比べて多くの基地局が必要となる。圧電薄膜の分極を反転させて多層にしていけば、音波の共振周波数はそのままに、厚さを層数倍していくことができる。理屈では、このような構造を実現すれば、耐電力性を高められることになる。しかしながら、国際的に見て、理論計算は多数あるものの、薄膜の分極反転多層成長の実験的な成功例はない状況である。本研究では、独自の圧電薄膜の分極反転多層構造および多結晶薄膜に比べて損失の小さい単結晶薄膜を用いて、耐電力性を向上させた小型周波数フィルタの実現をすることを目的としている。耐電力性の高いフィルタを得るには、従来の橋げた構造(FBAR構造)に比べて、基板に固定されており、排熱が容易なブラッグ反射器を用いた構造(SMR構造)の採用が必要と考えられる。本年度では、まずSiO2層と重い金属層からなる音響多層ブラッグ反射器を作製技術および独自の機械特性評価技術について確立した。具体的には、ScAlN圧電薄膜からなるGHz帯の超音波トランスデューサを用いたパルスエコー法の測定系を構築した。本手法の有効性についてもシミュレーションと実験の両面から確認することができた。
1: 当初の計画以上に進展している
音響ブラッグ反射器を圧電薄膜層と独立に評価する独自の評価法を確立した。具体的にはScAlN圧電薄膜からなるGHz帯の超音波トランスデューサを用いることでパルスエコー法により、ブラッグ反射器の機械的等価特性を測定した。さらに理論シミュレーションを行い、本手法の有効性とブラッグ反射器が予想通り動作していることを確認できた。
今後は、フィルタの耐電力性の向上に向けて、分極反転構造の作製技術の確立およびエピタキシャル成長技術を進展させていく。具体的には、ブラッグ反射器上にエピタキシャル薄膜を得るような技術も考案していく予定である。
値引きなどにより、少額の残額が生じた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (48件) (うち国際学会 14件、 招待講演 3件)
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