海岸に漂着するプラスチックごみに関して、微細ごみを含めた賦存量の把握と削減に向けた回収方法を検討した。賦存量の把握では、センチメートル以上のスケールのごみに対しては、UAV搭載マルチスペクトルカメラによる調査が効率的であることを見出した。また、繰り返し来襲する高波により、プラスチックごみは岸側領域に集積することも明らかとなった。微細ごみの調査に関しては、目視調査により、マイクロプラスチックであるレジンペレットが検出された。すなわち、太平洋に面し、比較的海浜ごみが少ない高知海岸においても、マイクロプラスチックによる海岸・海洋汚染が進んでいることが明らかとなった.さらに、マイクロプラスチックは、海岸の砂粒子と見分けがつきにくいものの、逆光条件のもとでブロワー風を利用すれば検出が容易となることも確かめられた。 削減に向けた効率的な回収方法に関しては、プラスチックごみの集積域とその季節変動を分析するとともに、集積域のごみを回収した場合に、再びごみが集積するまでの時間を調査した。プラスチックごみは、波消しブロックの隙間や、海岸堤防、突堤、防波堤などの構造物の基部付近に集積しやすいことが明らかとなった。また、これらの集積域に、透水性構造物があると、その部分に特にごみの集中がみられることが明らかとなった。以上の集積メカニズムから、集積場所でごみを回収すれば、その場所に再び集積すると考えられた。再集積に要する時間は1か月程度であることが判明したため、海象や気象の季節的な変動スケールに合わせてごみを回収すれば、集積域での回収のみで、低労力に効果的に回収でき、これを継続することで、ごみ削減に資することが明らかとなった。
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