研究課題/領域番号 |
21K18788
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
本田 明治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20371742)
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研究分担者 |
村山 敏夫 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50568368)
長尾 雅信 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50467065)
豊田 光世 新潟大学, 佐渡自然共生科学センター, 准教授 (00569650)
安田 浩保 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 研究教授 (00399354)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 地域 / 環境 / 災害 / 風水害 / 極端気象 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、近年の極端気象による風水害の頻発化・激甚化による地域社会生活環境への影響評価を通じて、気象災害に関する「地域持続可能度」を評価することである。本評価を地域力指標とした「災害や環境変化に強い地域社会」の構築に向け、次世代に引き継ぐ新しい学問分野「地域災害環境システム学」を提唱する。本研究で対象とする新潟地域は国内でも風水害が多く、近年は急速な人口減少による地域力低下も顕著で、我が国の行く末が先行する課題先進地域であり、地球温暖化による数度の気温上昇を見据えた中長期的視野も踏まえた地方再生・創生のロールモデルを提唱する。 2021年度はまず「(1)地域を知る-地域社会の多階層構造の診断による地域力評価-」の取り組みを開始した。本課題メンバーが個々の研究において連携してきた各市町村(小千谷市、阿賀町、出雲崎町、関川村、佐渡市)を対象地域として、急速に進む人口減少の中で災害や環境変化に向き合う地域力の変遷の評価体制の検討を進めている。しかしながら各市町村により大きく状況が異なることから並行調査体制を見直し、初めに佐渡市を対象として課題メンバーの協働体制で「地域持続可能度」評価の検討を実施することとし、現地調査を開始した。この過程で、本学研究企画室主任URA長谷川佐知子氏に研究協力者として参画頂き、今後も継続して本課題をご支援頂くこととなった。 新学問分野「地域災害環境システム学」に関しては、本学で展開する全学分野横断創生プログラム(NICE)のマイナー学修パッケージ開設の準備を本課題メンバーに加え学内教員の協力の中で進め、2022年4月に14科目で構成される「地域災害環境システム」パッケージとして開設された。必修科目の「地域災害環境システム学入門」は定員30名に対して約80名の履修希望があり、順調な滑り出しと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初「(1)地域を知る-地域社会の多階層構造の診断による地域力評価-」の取り組みを、本課題メンバーが個々に連携してきた各市町村で並行して進める予定であったが、各市町村により状況が大きく異なり、画一的な地域持続可能度評価は困難であることが判明した。そこで並行調査体制を見直し、また研究企画室URAスタッフの協力を得て、初めに佐渡市を対象として課題メンバーの協働体制で実施することとした。このため初動はやや遅れることとなったが、全員体制で現地調査を開始するなど具体的な進展が見え始めているので、2022年度は十分の遅れを取り戻せる予定である。 一方、新学問分野「地域災害環境システム学」については、本学で展開する全学分野横断創生プログラムの学修パッケージとして22年度から開設するなど、こちらは当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
「(1)地域を知る-地域社会の多階層構造の診断による地域力評価-」の取り組みについて、佐渡市をロールモデルとして進めることで、評価システムの構築を進める。既に他地域で同様の取組を実施している兵庫県立大学高田知紀准教授との協働体制で進める。 続いて、当初21年度後半から実施予定であった「(2)過去の気象災害を知る-地域持続可能度評価-」について、まずは佐渡市を対象として、過去の風水害事例について、特に地域力の「共助」による復興の過程を、極端気象(インプット:I)→災害(アウトプット:O)→レジリエンス(アクション:A)の3つのアプローチを、行政、産業、住民コミュニティを対象に協働体制で実施し、包括的なドキュメントにまとめ、地域力指標を評価する気象災害に関する「地域持続可能度」を構築していく。評価システムの確立後は、他市町村への展開も図っていく。 22年度後半からは「(3)「地域持続可能度評価-災害や環境変化に強い地域社会構築に向けて-」の取組を開始し、:過去の災害時と同じ気象条件における「地域持続可能度」を評価し現況の地域力評価、また今世紀の中後半に予測される2℃または4℃気温上昇時の高解像度気象予測データに基づく将来の極端気象事例条件も評価する。これらの評価結果は報告会の開催を通じて地域と共有し、現況の諸問題解決に向けた方策施策を検討する。また将来温暖化時の環境変化の評価を実施し、「災害や環境変化に強い地域社会」を次世代に引き継ぐ中長期対策を提唱する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度においては、当初研究対象とする各市町村への現地調査が予定されていたが、コロナ下の状況及び研究方針の転換を踏まえて、旅費の支出が当初より抑制された。また導入予定だった計算機サーバも研究方針の確定を待つ必要があった。 2022年度は研究の方向性も定まったため、各市町村への現地調査も活発になることが予想される。また計算機サーバについては分散型サーバの導入を検討している。
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