研究課題
挑戦的研究(萌芽)
化学結合の開裂による量子もつれの検出のために、固体表面の個々の原子が有する単一スピンにアクセスすることが必要である。表面に物理吸着した酸素分子のスピン状態を酸素分子の配列から明らかにする研究を行った。表面と相互作用が強い配列と弱い配列に分類することができることがわかり、酸素分子の最短距離から反強磁性的な秩序が示唆された。さらに、シリコン原子が持つ不対電子にも着目し、シリコン単結晶とは異なる結合角度を持つシリコン原子が安定に存在できることを確かめた。
走査プローブ顕微鏡
シリコンは現在の半導体技術の中核を担う重要な物質である。ありふれた材料であるシリコンでも表面構造を工夫する余地があることがわかった。シリコンの単層膜を利用することによって、シリコンの単結晶とは異なる活性度を有するシリコン原子を表面に配列することができることが判明した。今後、シリコンの高次な表面構造や低次元性を活かしたデバイスへ展開できる可能性がある。原子間力顕微鏡による原子レベルの高分解能観察と化学状態分析の機能自体も様々な用途に波及していくと考えられる。