研究課題
ダングリングボンドを持たないグラフェン上の結晶成長(ファンデルワールスエピタキシー)では、従来の半導体エピタキシャル成長と異なり、格子整合の制約を受けにくい特徴があるが、逆に、核生成の制御や面内方向の拡散を制御することが難しいという問題点がある。本研究では、グラフェンを2枚重ねた際に生じる『モアレ超格子』と呼ばれる長周期のポテンシャル変調構造を駆動力とすることで上記困難を克服することを目指している。緩い長周期ポテンシャルが吸着や表面拡散の方向に影響を与えることを予想して研究を行っている。今年度は、これまでInNやGaNをターゲットに進めていた「MBE法を用いたツイスト2層グラフェン上への窒化物半導体結晶成長の研究」を、混晶であるInGaNへと拡張した。グラフェンの層数が1層の場合と2層の場合でInGaNの組成やモフォロジーに差が表れることを明らかにした。この資料は、作製後に2層グラフェンとともに剥離可能であることも見出しており、グラフェンのラマン分光を用いて積層角度もわかることから、現在、積層角度による組成やモフォロジーの差についても検討を進めている(南部他、応用物理学会2024)。さらに、パワー半導体材料として注目されている酸化ガリウムを、ファンデルワールスエピタキシーによってグラフェン上に形成できることも見出した(神田他、応用物理学会2024)。こちらも、グラフェンの層数によってモフォロジーが大きく変化することがわかっている。ミストCVD法を用いた他の酸化物半導体成長にも取り組んでいる。また、昨年度よりスタートしたCVD法を用いた研究では、ツイスト2層グラフェン上に遷移金属第カルコゲナイドを成長することに成功しており、現在、ツイスト角度による違いについて検討を行っている。以上の内容をもとに、論文発表5件、学会発表22件の成果を得た。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 7件)
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