研究課題/領域番号 |
21K18994
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桑折 道済 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80512376)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | ホルミウム / ランタノイド / キュービック液晶 / 磁性 |
研究実績の概要 |
次世代磁気デバイス開発に向け、常温で優れた磁気特性を示す材料の開発が重要である。我々は、新たな常温磁性体の開発に向け、ランタノイド元素の中で最も高い磁性を示す「ホルミウム:元素番号67」に着目した研究を行なっている。これまでに、ポリアクリル酸もしくはポリケトエステルからなる高分子担体に3価のホルミウムを高密度で導入することで、常温でネオジウム磁石に応答するソフト磁性材料の作製を報告してきた。本研究では、自己組織化的に組み上がる液晶の秩序性を利用し、ホルミウム錯体からなる光学的に等方なキュービック液晶を作成し、磁気特性を含む特性解析を行うことを目的とする。 本年度は、ホルミウムとジケトン型配位子を用いて作成した錯体の構造最適化を行うことで、室温で自発的にキュービック液晶を形成する条件を探索した。配位子の側鎖構造を変更して作製した各種錯体材料を偏光顕微鏡で観察すると、作製した材料のうちの1種類において、キュービック液晶に典型的な暗視野が観測され、X線回折測定より室温でキュービック液晶構造を形成していることが示唆された。また、室温でネオジウム磁石に瞬時に応答する優れた磁気応答を示し、超伝導量子干渉磁束計測定により磁気特性を解析したところ常磁性を示す材料であることがわかった。分子設計により、低エネルギープロセスで元素を高秩序に配向した集合体の発現指針を見出すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ホルミウム錯体の側鎖構造を厳密に制御することで、室温でキュービック液晶を形成する条件を見出すことに成功した。磁気特性に優れるホルミウムを3次元的な空間に配列する新たな知見を得ることができ、おおむね当初の計画通りに研究が推移していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はホルミウム錯体の側鎖構造を厳密に制御することで、室温でのキュービック液晶の作製に成功した一方で、キュービック液晶の詳細な内部構造についてはまだ不明である。次年度は、X線散乱やX線回折実験を中心とする各種測定法を駆使して、構造決定を目指す。また、磁場印化条件下における液晶形成を行い、配列異方性の制御についても検討する。
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