磁性体をナノスケールで配列した「ナノ構造磁性体」は、その構造に起因した新規な磁性や機能を示す。我々は、新たなソフト磁性体の開発に向け、ランタノイド元素の中で最も高い磁性を示すホルミウムに着目した研究を行なっている。本研究では、ホルミウムを中心金属としてβ-ジケトン型配位子3分子と水1分子が配位した7配位型のホルミウム錯体が、室温で自発的にミセルキュービック液晶を形成することを見出した。放射光X線散乱測定を主とする実験的な検討に加え、MD計算による計算科学的な手法も含めて包括的に検討することで、3つのホルミウム錯体が1つの超分子球を形成し、それらがBCC構造を形成することを明らかにした。
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