研究課題/領域番号 |
21K19166
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
福島 崇志 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00452227)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | コヒーレント / レーザスペックル / 水ストレス / 植物生理 / 偏光 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、植物生理・生育情報において現場要求度が最も高い植物体の水分状態を非破壊・非侵襲かつ広範な2次元画像により把握するため、レーザ光に代表されるコヒーレント光の散乱・反射特性を利用した計測原理の構築に挑戦する。植物体では、生理活性に伴う水動態や乾燥による水ストレスなど水分状態により、表面の組織構造変化が顕在化する。本研究では、コヒーレント光が対象粗面に照射される際、表面粗さを反映する拡散成分が観察される点に焦点を当て、植物体の水分状態に伴う組織構造変化を捉える。 初年度においては,提案手法の基本的な計測条件について検討した. 光が物質の表面で反射されるとき,その方向は表面構造に依存し,滑らかな表面であるほど正反射に近づき,滑らかではない場合は乱反射する.さらに物質表層内部で乱反射し再び表面から外に出る光も存在する.一方,偏光は種類によって反射のしやすさが異なり,さらに反射の仕方によって偏光が変化することが知られている.これらの反射光を解析することで表面または内部の状態を知ることが可能であると考えられる. 実験では,植物葉の水ストレス進行に伴う正反射・拡散反射の割合の変化や波長による反射率の違いを調査した.その結果,ストレス検出に対する有効な波長の存在が示唆され,より詳細な調査の必要性が明らかになった.また,水ストレスによる植物葉の表面構造の変化をより明確に検出するため、葉表面(境界面)で反射した偏光を選択的に検出することに取り組んだ。その結果、入射光・反射光ともにs偏光を利用することで、水ストレスによる表面構造の変化を反映する結果が得られた。今後も継続し,最適な計測条件を探索することに加え,最適な解析指標の提案も実施していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、提案手法の基本的な条件として、(1)入射角・反射角の特性、(2)光質(偏光や波長)の影響、(3)ストレスとの関係を明らかにすることを主な計画している。初年度においては、主に(1)、(2)に取り組み、ある程度の結果を得た。当初の計画通りに進捗できていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度においては、入射・反射角による結果の違いや偏光の利用について実験を重ねてきた。しかし、まだ不明な点も多く、実験データとして不足している点が見られる。2年目においては、初年度の結果について不足分のデータ取得からはじめ、(2)光質についても波長の違いなどの検討を計画している。また、複数の植物生理との関係性も探るため、計測機器の準備も同時に進める。
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