研究課題
本研究では、現実と瓜二つの手術体験を共有できる 『術者視点型VR(バーチャルリアリティ)手術体験教材』を開発し、時間・空間・身体の障壁を超越して、現実と等価な視覚情報を得ながら無限に外科医の技術をシャドーイングできる手術教育教材の開発に挑戦している。本研究では複数の全天球型カメラを用いて、東京大学附属動物医療センター手術室を利用し、犬を用いた実際の手術を撮影し、各全天球型カメラの映像を組み合わせた動画を編集し、VR教材を作成し、獣医学課程の学生への教育効果を既存の方法と比較検証する。これまでの研究により、光量の問題や撮影環境の問題、解像度や色調の問題、新型コロナ感染症による施設利用の制限など、多々の予期せぬ課題に直面したが、研究期間を延長し、随時調整を行うことで、最終年度には『術者視点型VR(バーチャルリアリティ)手術体験が可能な全天球映像』の作成に成功した。最終年度は、東京大学の倫理承認を経て、獣医学専修の学部学生に対して、作成した全天球映像と既存の2D教材による教育効果の比較研究を実施した。全天球映像は2D教材に比べ、臨場感や体験満足度が有意に高く、さらに、大変興味深いことに、一部の教材体験後のテストにおいて、全天球映像を受講した学生の成績が、2D教材を受講した学生の成績を有意に上回ることを実証した。以上、本研究では、『術者視点型VR(バーチャルリアリティ)手術体験教材』の開発に成功し、既存の2D教材を上回る有用性を有する可能性を提唱することに成功した。
すべて その他
すべて 備考 (2件)
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/geka/
https://vr.u-tokyo.ac.jp