研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本萌芽研究ではナイトレン前駆体の構造多様性の低さに着目した。汎用されるカルバモイルナイトレンやサルファモイルナイトレンとは異なる,アルキルナイトレンの性質・反応性に関する理解を深めることで,酸化剤フリーのナイトレン生成法の開拓を目的とした。既に実験化学的手法により見出していたアルキルナイトレン生成法を計算化学的アプローチによりに再度検討することで,アルキルナイトレンの基底電子状態に関する知見を深めた。
有機合成
多くの生理活性物質が窒素原子を有することから,ナイトレンを用いた窒素導入反応の開発が盛んに行われてきた。しかしナイトレン生成は化学量論量の酸化剤を金属触媒存在下に作用させる必要があり,環境負荷の観点から望ましいプロセスとは言えない。本研究で得られたアルキルナイトレンの電子状態に関する新たな知見は,酸化剤の添加を必要としない環境調和性に優れたナイトレン生成法を今後実現するに向け,重要な第一歩となる。