本研究では,損傷を与えずに神経活動を長期に安定して計測することが困難であるという課題を解決するために,ソフトアクチュエータ技術と微細加工を活用することにより,柔らかいまま電極自身の蠕動運動によって脳組織に潜り込んでいくことができる全く新しい形式の多点神経電極を試作するとともに,齧歯類を用いた生理実験による機能評価を行った.また,柔軟電極の可能性をさらに広く追及するため,柔軟材料で構成される表面多点電極と従来の刺入多点電極の同時計測により,脳表面および脳深部の神経活動連関を探求した.こうした一連の試みを通じて,神経科学における様々なタイプの柔軟電極の可能性を多面的に検討した.
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