研究課題/領域番号 |
21K19448
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北畠 康司 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80506494)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
キーワード | ダウン症候群 / ゲノム編集 / 遺伝子治療 |
研究実績の概要 |
ダウン症候群では、21番染色体トリソミーにより重篤な知的障害と認知障害が起こる。我々はダウン症候群のアストロサイトではNLRP3インフラマソームの活性が亢進し、神経細胞に強い変性細胞死をもたらし、かつその原因遺伝子がDYRK1Aであることを明らかにした。本研究ではそのコピー数を正確に修正するために、新規のゲノム編集技術CRISPR-Cas3に注目し、アレル特異的SNPを用いてDYRK1Aのアレル選択的コピー数修正を行うことを目指している。 昨年度は、あるダウン症児の臍帯血に由来するiPS細胞のゲノム配列を精査し、DYRK1Aの3つのアレルのうち1つだけに存在するSNPを見出すことに成功した。そこで今年度はこの領域を含んだguide RNAを作成し、iPS細胞においてCRISPR-Cas3を作用させてみたところ、DYRK1Aのゲノム量を減少させることに成功した。さらにiPS細胞から分化誘導したアストロサイトにおいてCRISPR-Cas3を投与した。エクソン3,4においてゲノム量の減少を確認することができ、かつ反対方向のエクソン5では減少が見られなかった。このアストロサイトではDYRK1Aの発現量の低下を確認した。重要なことは、SNPをもたないguide RNAではゲノム量の低下より強く見られ、またSNPを持たないiPS細胞に対してSNPをもつguide RNAを作用させても変化は見られないことから、特異性を確認することができた。 来年度はさらに神経細胞・アストロサイト共培養系をもちいて、神経細胞への影響を確認する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS細胞およびアストロサイトにおいて、CRISPR-Cas3をもちいたDYRK1Aのゲノム編集を確認することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
神経細胞とアストロサイトでの共培養系をもちいて、神経細胞での影響を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物実験施設の改修工事により動物の搬入ができなかったため、in vivoでの解析が遅れ、次年度に行うこととなった。
|