研究課題/領域番号 |
21K19496
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (50396719)
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研究分担者 |
窪田 哲也 公益財団法人朝日生命成人病研究所, その他部局等, 教授(移行) (60385698)
相原 允一 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60779362)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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キーワード | 糖尿病 / アディポネクチン |
研究実績の概要 |
視床下部腹内側核(VMH)は交感神経の中枢でありその破壊によって過食を呈していることから、VMH破壊マウスでは交感神経活性が低下し副交感神経活性が上昇しているものと思われた。まずはじめにVMH破壊マウスで認められたAd上昇が迷走神経切断(Vagotomy)、副交感神経遮断薬であるアトロピンの投与で減弱するかどうかを確認し、副交感神経を介することを証明した。さらに交感神経活性低下が重要なのか、副交感神経活性化が重要なのか、両方が必須なのかを判別するために、副交感神経活性化薬であるカルバコール投与、交感神経遮断薬6-hydroxydopamineのそれぞれ単独投与、両薬剤同時投与の実験を行い、血中Ad濃度やAd発現を検討した。また脂肪細胞は95%が交感神経の支配を受けており、副交感神経の役割は不明であったため、脂肪組織に副交感神経の受容体であるムスカリン受容体やアセチルコリン受容体が発現しているのかどうか、VMH破壊によってそれらの発現が変化するかどうかを測定するとともに、副交感神経のマーカ-であるコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の発現を免疫染色にて確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の研究計画のうち1年目が終了したところであるが、東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科と朝日生命成人病研究所糖尿病代謝かとの連携体制も機能しており、研究の進捗もほぼ予定通りのため。
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今後の研究の推進方策 |
アディポネクチンがインスリン感受性ホルモンであり、抗糖尿病作用・抗動脈硬化作用を有していることに関しては既に国内外から数多くの報告があるが、その分泌調節機構や病態における破綻のメカニズムについてはなお十分な知見が得られていない。臨床応用されているアディポネクチンをターゲットとした薬剤もPPARγアゴニストのみにとどまっており、その使用頻度は減少傾向にある。本研究では引き続き“アディポネクチンの生理的な分泌調節機構とその破綻の分子メカニズム”を解明し、2型糖尿病や動脈硬化症といった病態理解に結び付く命題に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
丁寧な予備検討と十分な訓練を積んだため、想定以上に実験手技が向上し、実験効率を上げることができた。そのため使用するマウスの匹数や実験回数、試薬使用量などを縮小したうえで、計画通りの進捗を図ることができたことが次年度使用額が生じた理由である。次年度には脂肪組織特異的FGF21欠損マウス脂肪組織特異的PPARγ欠損マウスを使用した実験を計画している。こちらの作製・繁殖・生産拡大に使用する予定である。
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