• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

ヒト胎盤幹細胞を用いた胚着床オルガノイドの創出と着床不全細胞治療への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 21K19546
研究機関東北大学

研究代表者

有馬 隆博  東北大学, 医学系研究科, 教授 (80253532)

研究分担者 小林 記緒  東北大学, 医学系研究科, 助教 (10803885)
小林 枝里  東北大学, 医学系研究科, 助教 (70634971)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2023-03-31
キーワード生殖補助医療(ART) / 胚着床不全 / 胎盤幹細胞 / オルガノイド
研究実績の概要

晩婚化や初産の高齢化により、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)を選択する不妊治療患者数は、年々増加の一途を辿っている。しかし、ARTの成功率は、約25%程度に頭打ち状態であり、不成功例の主原因は、胚着床(機能)不全が指摘されている。また、この着床不全は、胚(受精卵)と子宮内膜の微小環境の不適性化が原因で生じると推測されているが、ホルモン補充療法による治療効果はほとんど認められない。そのため、本研究では、まずヒト胎盤幹(TS)細胞と子宮内膜細胞の共存した胚着床オルガノイドモデルを作製し、ヒト着床機序について理解を深め、子宮内膜に直接作用するTS細胞の着床不全に対する有効性を、in vitroにて検証することを目的とする。初年度は、TS細胞だけでなくTS細胞オルガノイド(トロフォシスト)やナイーブ型ES細胞より分化誘導した胚盤胞様構造物(ブラストイド)と子宮内膜(上皮に加え、間質細胞も付加)を用いたヒト胚着床オルガノイドを作製し、着床を再現する形態的な遺伝子発現による評価を行った。その結果、トロフォミストとブラストイドおよび子宮内膜細胞のオルガノイドを作製し、両者が共存可能かつ子宮内の胎盤発生を促す培養条件を検討した。その際、オルガノイド共培養時の子宮内膜上皮の応答については、細胞肥厚などの形態変化や腺成熟マーカーの発現確認、細胞増殖マーカーの染色を行った。また、子宮内膜間質細胞については、妊娠子宮内膜に特徴的な脱落膜の分化マーカーの発現を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TS細胞および子宮内膜細胞を用いたヒト胚着床オルガノイドの作製:これまでにマトリゲルを用いた三次元培養により、TS細胞だけでなくTS細胞オルガノイド(トロフォシスト)やナイーブ型ES細胞より分化誘導した胚盤胞様構造物(ブラストイド)と子宮内膜(上皮に加え、間質細胞も付加)を用いたヒト胚着床オルガノイドを作製した。両者が共存可能かつ子宮内の胎盤発生を促す培養条件の検討を行った。オルガノイド共培養時の子宮内膜上皮の応答について、細胞肥厚などの形態変化や腺成熟マーカー(PAEP, PRα)の発現確認、細胞増殖マーカーの染色(Ki67)を行った。また、子宮内膜間質細胞については、妊娠子宮内膜に特徴的な脱落膜の分化マーカー(PRL, IGFBP1)の発現を確認した。

今後の研究の推進方策

次年度は、胎児免疫寛容機構の再現を行う。妊娠成立のために、胎盤は母体の免疫から逃れる免疫特権を獲得する。免疫寛容成立や胎盤発生に重要なNK細胞やCD4+Tリンパ球等の免疫細胞を胚着床オルガノイドと混合培養し、NK細胞活性、制御性T細胞の分化度(CD25+/FoxP3+)や、胎盤構造(浸潤の深さ・分化度)を指標にその表現型を解析し、胎盤-免疫細胞間クロストークを可視化しその機序を明らかにする。また、着床および子宮内膜への胚の浸潤時にみられる合胞体栄養膜(ST)細胞への分化や原始合胞体様の構造の形成について、組織学的解析により評価する計画である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] Intersection of regulatory pathways controlling hemostasis and hemochorial placentation2021

    • 著者名/発表者名
      Muto Masanaga、Chakraborty Damayanti、Varberg Kaela M.、Moreno-Irusta Ayelen、Iqbal Khursheed、Scott Regan L.、McNally Ross P.、Choudhury Ruhul H.、Aplin John D.、Okae Hiroaki、Arima Takahiro、Matsumoto Shoma、Ema Masatsugu、Mast Alan E.、Grundberg Elin、Soares Michael J.
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 118 ページ: e2111267118

    • DOI

      10.1073/pnas.2111267118

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] ASCL2 reciprocally controls key trophoblast lineage decisions during hemochorial placenta2021

    • 著者名/発表者名
      85.Kaela M. Varberg, Khursheed Iqbal, Masanaga Muto, Mikaela E. Simon, Regan L. Scott, Keisuke Kozai, Ruhul H. Choudhury, John D. Aplin, Rebecca Biswell, Margaret Gibson, Hiroaki Okae, Takahiro Arima, Jay L. Vivian, Elin Grundberg, and Michael J.
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 9 ページ: e2016517118.

    • DOI

      10.1073/pnas.2016517118.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Epi-mutations for spermatogenic defects by maternal exposure to di(2-ethylhexyl) phthalate2021

    • 著者名/発表者名
      Tando Y, Hiura H, Takehara A, Ito-Matsuoka Y, Arima T, Matsui Y.
    • 雑誌名

      Elife

      巻: 28 ページ: e70322.

    • DOI

      10.7554/eLife.70322.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヒト胚着床モデル-母胎アセンブロイド-の開発2021

    • 著者名/発表者名
      柴田峻、岡江寛明、有馬隆博
    • 学会等名
      ART FORUM’21 生殖の分子機構への新たなアプローチ
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 生殖医学研究の最前線 進歩し続ける基礎研究2021

    • 著者名/発表者名
      岡江寛明、有馬隆博.
    • 学会等名
      66th生殖医学会学術講演会・総会:シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 生殖補助医療とエピゲノム疾患2021

    • 著者名/発表者名
      樋浦仁、服部裕充、有馬隆博
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      株式会社メディカルドゥ
  • [図書] ヒト胎盤発生と幹細胞2021

    • 著者名/発表者名
      柴田峻、岡江寛明、有馬隆博
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      医学書院(金原出版)
  • [図書] ヒト初期発生におけるエピジェネティクス2021

    • 著者名/発表者名
      岡江寛明、有馬隆博
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      羊土社
  • [図書] トロホブラスト幹細胞と展開2021

    • 著者名/発表者名
      小林枝里、岡江寛明、有馬隆博
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] ヒトTS細胞を用いた胎盤疾患モデルの構築2021

    • 著者名/発表者名
      大池 輝, 小林 枝里, 小林 記緒, 柴田 峻, 岡江 寛明, 北村 茜, 宮内 尚子, 有馬 隆博
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      北隆館/ニューサイエンス社

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi