研究課題
挑戦的研究(萌芽)
精巣で作られたばかりの精子は受精能を持たない。精子は精巣上体を移行する過程で、精子の運動能や雌の生殖路移行能、卵子透明帯 (卵子の周りにある細胞外マトリックス) への結合能を獲得し、受精が可能になる (精子成熟過程)。本研究では、精子成熟過程に関与するタンパク質の阻害剤を雄マウスに投与すると、精子運動能や卵子透明帯への結合能が低下し、雄マウスが可逆的に不妊になることを明らかにした。
生殖生理
日本では年間約20万件もの人工妊娠中絶が行われており、その理由の1つとして望まない妊娠が挙げられる。米国でも約50%が予定外の妊娠とされ、約半数で人工妊娠中絶が行われている。この状況を改善するには、効果的な避妊法の開発や普及が急務である。しかし、女性用避妊薬が存在する一方、男性用避妊薬の開発は成功していない。本研究では、精子成熟過程に関与するタンパク質を標的にすれば、短期間で効果があり、かつ可逆的な男性用避妊薬の開発につながることを示せた。