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2022 年度 実施状況報告書

時空間的トランスクリプトミクスによる骨格系幹細胞の運命決定機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K19596
研究機関大阪大学

研究代表者

波多 賢二  大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (80444496)

研究分担者 宇佐美 悠  大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (80444579)
奥崎 大介  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (00346131)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2024-03-31
キーワードシングルセル解析 / 骨格系細胞
研究実績の概要

2022年度は10xGenomics社によってプラットフォーム化され市販されているVisium空間的遺伝子発現解析システムを用いて空間的トランスクリプトミクスを中心に解析を行った。まずはじめにE14.5マウス脛骨の凍結切片から、スライド上のDNAスポットへRNAを抽出するための細胞透過酵素の反応時間を検討し、酵素処理時間を60分とした。そして、Visium Gene ExpressionスライドにE14.5マウス脛骨の凍結切片を貼付し、スライドの位置情報を含んだDNAバーコードを持ったライブラリーが作製される。得られたライブラリーを3億ペアリード/サンプルで解析し、10X GenomicsのソフトウェアであるSpace Ranger解析パイプランとLoupe Browserによる可視化を行い、E14.5マウス脛骨の遺伝子発現マップを作製した。その結果、脛骨の細胞群を遺伝子発現により9つの細胞クラスターに分類することに成功した。そして、筋肉組織および皮膚組織を除外し骨組織のみを指定し再クラスタリングを行うとともに、細胞クラスターを脛骨の組織切片と比較し空間的情報とをオーバーラップさせた。最終的に、成長板軟骨の骨端部に骨格系幹細胞と推測される細胞集団を見出した。これらの細胞クラスターに特異的な遺伝子を抽出したところ、Barx1、GDF5、Ccn3などが同定され、重用なことに昨年度シングルセルRNA-seqにおいて骨格系幹細胞と推測された遺伝子群と一致していた。また、これまで不明な点が多かった肥大化軟骨細胞に特異的な遺伝子群も検出することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度はVisiumによる空間的トランスクリプトーム解析を行い、骨格系幹細胞から軟骨細胞まで分化段階の異なる細胞クラスターを組織学的に分類することに成功したため、おおむね順調に進んでいると判断した。

今後の研究の推進方策

2023年度は、昨年までのシングルセル解析ならびに空間的トランスクリプトーム解析から明らかとなった遺伝子の機能解析を行う。まず、in situハイブリダイゼーション法ならびに免疫染色法により、成長板軟骨を含む骨組織における発現部位を検討する。次に、骨芽細胞分化および軟骨細胞分化における上記の遺伝子の役割をin vitroで検討する。具体的には、レンチウィルスシステムを用いて、未分化間葉系細胞株C3H10T1/2に、上記転写因子を過剰発現、または遺伝子ノックダウンして、骨芽細胞分化および軟骨細胞分化に対する効果をRT-qPCR法により評価する。これらの解析により、骨芽細胞分化および軟骨細胞分化に関与することが明らかとなった遺伝子を骨格系幹細胞特異的転写因子として、in vivoでの解析を進める。
同定した骨格系幹細胞に特異的転写因子の個体レベルでの骨格形成における役割を明らかにするために、CRISPR/Cas9ゲノム編集法を用いてノックアウト(KO)マウスを作製し、病理組織学的に骨形成への影響を検討する。KOマウスが胎生早期致死で解析が困難な場合は、当該遺伝子のfloxマウスを作製し、四肢に特異的なPrx1-Creマウスと交配して、四肢特異的コンディショなるKOマウスを作製して、骨格形成の表現型を解析する。さらに、当該遺伝子の抗体を用いたChIP-seq解析とKOマウス由来の細胞を用いたRNA-seq解析行い、当該遺伝子の遺伝子発現ネットワーク機構を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子改変マウスの入手に時間がかかり、解析を始めるのが遅れたため。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] UC Denver(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      UC Denver
  • [雑誌論文] Regulatory Mechanisms of Prg4 and Gdf5 Expression in Articular Cartilage and Functions in Osteoarthritis2022

    • 著者名/発表者名
      Takahata Yoshifumi、Hagino Hiromasa、Kimura Ayaka、Urushizaki Mitsuki、Yamamoto Shiori、Wakamori Kanta、Murakami Tomohiko、Hata Kenji、Nishimura Riko
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 4672~4672

    • DOI

      10.3390/ijms23094672

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Identification of Chondrocyte-specific Sox9 Enhancers Important for Skeletal Development2022

    • 著者名/発表者名
      Hata K, Kobayash S, Takahata Y, Murakami T, Nishimura R
    • 学会等名
      Japan Bone Academy 2022
    • 招待講演
  • [学会発表] Transcriptional control of skeletal development2022

    • 著者名/発表者名
      Hata K
    • 学会等名
      第20回松山国際学術シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 最新の骨粗鬆症学(第二版)「サイトカイン」2022

    • 著者名/発表者名
      波多賢二
    • 総ページ数
      667
    • 出版者
      日本臨床社

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公開日: 2023-12-25  

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