研究課題/領域番号 |
21K19644
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡村 裕彦 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20380024)
|
研究分担者 |
吉田 賀弥 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (60363157)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
キーワード | 歯周病 / 胎盤 / 胎児 / 細胞外小胞 / 血管新生 |
研究成果の概要 |
本研究では,歯周病が胎盤組織に与える影響について,歯周病原菌が放出する小胞に着目して解析を行った。歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』は胎盤・胎児に移行し,その成長を遅らせた。その胎盤では,血管走行の乱れと母体側の血管面積の減少が顕著に認められた。また,胎盤における血管形成に関わる因子の存在量が有意に低下していた。 以上の結果は,母体が重度に歯周病に罹患した場合,歯周病原菌由来の『細胞外分泌小胞』が胎盤・胎児に到達し,その血管形成を阻害することで成長を妨げることを意味している。母体の健康と胎児の成長発育に理想的な口腔環境を築くことが重要である。
|
自由記述の分野 |
口腔組織学
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで,歯周病の全身性疾患への関与は,血流を介した細菌の直接移行あるいは免疫担当細胞への作用による炎症性サイトカインの放出によって生じると考えられてきた。本研究は,この従来の概念をこえて,歯周病原菌が病原因子を含む『細胞外分泌小胞』を放出することで,母体と胎児を繋ぐ胎盤組織に影響を及ぼすことを明らかにした。一連の研究は,口腔(細菌)環境が母体だけではなく,子孫の健康にまで影響を与えていることを実証するものであり,その分子メカニズムを解明することは,社会医学・看護学にとって重要な意義をもつと考えられた。
|