児童虐待は深刻な社会問題となっており、その早期発見方法の開発が切望されている。我々は、被虐待者では胸腺が萎縮することに着目し、萎縮胸腺における虐待特異的なストレス応答分子の発見を目指した。本研究の結果より、線維芽細胞増殖因子の一種であるFGF23が虐待など重度のストレス時にのみ増加する分子であること、及びストレスが過去にかかっていたことを長時間追跡できる分子であることが明らかとなった。このことは、FGF23が虐待に特異的、及び隠蔽防止に役立つマーカーとなる可能性を示唆している。また、萎縮胸腺からは、血中に分泌される分子として線維芽細胞増殖因子ファミリーや、アディポカインを候補分子として得た。
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