研究課題/領域番号 |
21K19847
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森下 文浩 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (20210164)
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研究分担者 |
今村 拓也 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (90390682)
堀口 敏宏 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 室長 (30260186)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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キーワード | 神経ペプチド / エピゲノム / トランスクリプトーム / 通年成熟 / 巻貝 |
研究成果の概要 |
炉心溶融事故を起こした福島第一原子力発電所近傍で見られた巻貝(イボニシ)の通年成熟現象の原因を探るため、RNA-Seq解析によりイボニシ脳で発現する約6万個の遺伝子転写産物を特定し、通年成熟に伴う発現変動を解析した。その結果、特定した88種の神経ペプチド前駆体遺伝子のほとんどが有意に発現低下するという通年成熟に特有の現象を見いだした。ヒストンやDNAの化学修飾に関わる酵素遺伝子の一部が発現上昇していたことから、エピゲノム調節系の攪乱と通年成熟の関連が示唆された。また、神経ペプチド遺伝子の発現変動を指標に、巻貝を簡便かつ高感度な環境モニタリングシステムに利用できる可能性がある。
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自由記述の分野 |
動物生理学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
巻貝の通年成熟現象は、これまで原因に関する知見がほとんど無く、原発事故との関連性も不明であった。本研究により、何らかの環境因子が遺伝子に傷を付けることなくエピゲノム調節を撹乱することで遺伝子発現を変化させ通年成熟を引き起こした、というエピゲノム攪乱仮説を提唱して研究の方向性を示すことができた。今後、この仮説の検証を通して通年成熟の原因解明と原発事故との関連性の検証、さらにはエピゲノム調節の適正化による通年成熟の解消が期待できる。またに、巻貝の遺伝子発現変動を指標にして環境変化を簡便・高感度に検出する新たな環境モニタリングシステムを開発する基盤を提供できた。
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