大型動物死体の分解には、多様な生物が関与しているが、中でも死肉食性双翅目幼虫は、脊椎動物不在下で死体の9割を分解するなど、死体分解に大きく寄与するとともに、分解期間を短縮させる。本研究では双翅目幼虫による大型脊椎動物死体分解期間の季節差とその差が生じる要因を明らかにすることを目的とする。実験の結果、春と秋には分解に要する時間が増加し、夏には減少した。また、有効積算時度に対する死体重量の減少率は、夏と秋でほぼ一定であるのに対し、春には大幅に増加したことから、幼虫の活動には温度だけでなく、その時々の種組成が大きく影響することが示唆された。
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