大乗経典は時代の経過と共に増広されるのが常である。経典は各々が個別の発達を遂げているため、増広の仕方に一貫性を求めることはできないが、本研究では、『薬師経』にかんして、どのような方法で思想が付加されたのか、さらに、それが何世紀頃のことかということを具体的に明らかにした。これにより、大乗経典の中でも、特に浄土経典の発達にかんする一つのモデルケースを他の研究者に提供することができた。また、浄土経典を対象とした研究会を定期的に開催し、その中で若手と老練の研究者の交流をはかり、我が国における浄土経典研究のレベルアップに努めた。
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